The Informationの新しいレポートによると、Appleはここ数ヶ月の間に人工知能(AI)への投資を大幅に増やし、会話型AI、自動化、マルチモーダルシステムに注力しているとのことだ。
ChatGPTの出現は業界のあり方を大きく変え、それまではどこか裏方の存在程度にしか考えられていなかったAIの存在を瞬く間にスターダムにのし上げた。ほぼ全てのテクノロジー企業は何らかの形でAIの開発や導入を進めるようになり、これの開発・トレーニングに用いられるNVIDIA GPUはその高額な価格設定にもかかわらず飛ぶように売れ、NVIDIAを1兆ドル企業にのし上げた。
そんな変化の中、静かに佇んでいるように見られたAppleだが、7月には、Apple独自のフレームワーク「Ajax」と、同社の従業員が「Apple GPT」と呼んでいるものを動かす可能性のある大規模言語モデル(LLM)に取り組んでいることが報じられ、同社も時代に取り残されないように取り組んでいる事が窺えた。
そして今回の新たなレポートだ。これによると、Appleは現在、4年前に設立され、SiriのチーフであるJohn Giannandrea氏率いるFoundational Modelsチームの下で、LLMのトレーニングに1日あたり数百万ドルを費やす程に積極的な動きを見せている。
Giannandrea氏自身はチャットボットに対して懐疑的であるようだが、昨今の状況に押される形で独自の内部ボットを実験しているとのことだ。この大規模言語モデルは、OpenAIのChatGPTのフリー版を駆動させているGPT-3.5よりも高度であると言われている。
とはいえ、これはまだ内部的な動きであり、MicrosoftのBingやGoogleのBardのようなチャットボットが登場する中、Appleはまだ消費者向けの会話型AI製品を発表出来ていない。そもそも、上記のApple内部のAI開発部門であるFoundational Modelsチームは、わずか16名で構成されているようで、全社を挙げて取り組むGoogleや、その他の競合他社が投入するリソースに比べると見劣りする点も否めない。過去にもAppleの音声アシスタントSiriがGoogleアシスタントやAmazonのAlexaに比べるとかなり性能の低い物だった事を考えると、AppleのAIチャットボットには過度な期待は禁物かも知れない。
とはいえ、Appleはチャットボット以外にも幅広いAIへの野心を抱いているようだ。あるプロジェクトでは、iOSのショートカットワークフローを不要にし、ユーザーが音声で入力した複数ステップのタスクを自動化できるSiri機能の開発を目指している。情報筋によると、これは早ければiOS 18に搭載される可能性があるという。
また、その他のチームは、AIが生成したビデオや画像、テキスト、画像、ビデオの関係を理解できるマルチモーダルシステムに取り組んでいる。Appleは加えて、AIモデルのプライバシー保護を改善する方法を研究している。
シリコンバレーでAI競争が過熱する中、Appleは遅れを取らないと決意している。だが、著名アナリスト、Ming-Chi Kuo氏は先月、AI業界におけるAppleの進歩は “競合他社に大きく遅れをとっている”と述べている。
Source
- The Information: Apple Boosts Spending to Develop Conversational AI
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