Appleは、6月6日(現地時間)より行われている開発者会議「WWDC 2022」において、同社独自チップ「M2」を発表した。
M2は第2世代の5nmプロセスノードで構築、M1からの順当な進化
M2は、第2世代の5nmを使用して構築されており、CPU性能はM1から18%向上、GPUはM1から35%向上しているという。また、Nerural EngineもM1から40%高速になっており、ワットあたりパフォーマンスが更に向上しているという。さらに、M1と比べて50%高いメモリ帯域幅と、最大24GBの高速ユニファイドメモリに対応。M2は、刷新されたMacBook Airとアップデートされた13インチMacBook Proに搭載される。
このM2の製造ラインは、A15 Bionicチップで用いられているラインと同じ物と考えられ、TSMCのN5Pノードで作られている可能性が高そうだ。N5PはAppleの言う「第1世代」に比べてパフォーマンスは向上するが、密度は向上しないため、写真を見る限りM1に比べてM2のダイサイズが拡大しているのは正確といえるだろう。
SoC | M2 | M1 |
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CPU | 高性能コア x 4(Avalanche?) 16MB共有L2 高効率コア x 4(Blizzard?) 4MB共有L2 | 高性能コア x 4(Firestorm) 12MB共有L2 高効率コア x 4(Icestorm) 4MB共有L2 |
GPU | 「次世代」 10コア 3.6TFLOPS 111Gigatexels/s 55Gigapixels/s | 8コア 2.6TFLOPS 82Gigatexels/s 41Gigapixels/s |
ニューラルエンジン | 16コア 15.8TOPS | 16コア 11TOPS |
メモリ コントローラー | LPDDR5-6400 8x 16-bit CH 100GB/s メモリ帯域幅(統合) | LPDDR4-4266 8x 16-bit CH 68GB/s メモリ帯域幅(統合) |
最大メモリ容量 | 24GB | 16GB |
エンコード/ デコード | 8K H.264、H.265、ProRes、ProRes RAW | 4K H.264、H.265 |
USB | USB4 / Thunderbolt 3 2x ポート | USB4 / Thunderbolt 3 2x ポート |
トランジスタ | 200億個 | 160億個 |
製造プロセス | 「第2世代 5nm」 TSMC N5P? | TSMC N5 |
トランジスタの増加、メモリの増加
M2のシステムオンチップ(SoC)設計は、強化された第2世代の5nmプロセスで構築され、M1より25パーセント多い200億個のトランジスタで構成されている。特筆すべき点として、LPDDR5のサポートが挙げられる。これにより、高いメモリクロックが得られ、結果的にM1より50パーセント高い100GB/sのユニファイドメモリ帯域幅を実現している。また、M2は最大24GBの高速ユニファイドメモリを備え、より規模が大きくより複雑なワークロードも処理できる。
高速化と電力効率の向上を両立
M2のCPUは、高性能コアのキャッシュが増加していることに加えて、高効率コアも強化されており、全体としてのパフォーマンスが向上している。具体的には、マルチスレッド性能がM1に比べて18パーセント向上したため、M2ではエフェクトを重ねた音楽制作や、写真に複雑なフィルタを適用するなど、CPUに負荷のかかるタスクをごくわずかな電力で処理できる。最新のWindowsノートパソコンの10コアチップと比較して、M2に搭載されたCPUは同じ電力レベルで約2倍のパフォーマンスを実現するという。また4分の1の電力で、Windowsパソコン用チップのピークパフォーマンスを達成する。最新のWindowsノートパソコンの12コアチップと比較すると、M2はわずか4分の1の電力で、その12コアチップのピークパフォーマンスの約90パーセントを提供する。
M2はまた、M1より2つ多い最大10コアのAppleの次世代GPUを搭載している。GPU自体もより大きくなったキャッシュと、より高くなったメモリ帯域幅との組み合わせにより、10コアGPUはグラフィック性能の大幅な向上を実現し、同じ電力レベルでM1より最大25パーセント高いグラフィック性能と、最大の電力レベルで最大35パーセント高いパフォーマンスを達成している。最新のWindowsノートパソコン用チップの統合型グラフィックスと比べ、M2のGPUは同じ電力レベルで2.3倍高速なパフォーマンスを実現し、5分の1の電力でそのピークパフォーマンスを達成する。M2のワット当たりのパフォーマンスの向上により、システムは並外れたバッテリー駆動時間を実現し、グラフィックスを駆使するゲームをプレイしたり大量のRAW画像を編集したりするときでさえ、システムが熱くならず静かに動作することができるという。
Appleの次世代のカスタムテクノロジー
M2はAppleの最新のカスタムテクノロジーをMacにもたらし、新たな機能やより高度なセキュリティなどを実現する。
- Neural Engineは1秒間に15兆8千億回の演算が可能で、M1より40パーセント以上増加。
- メディアエンジンは、8K H.264およびHEVCのビデオに対応する、より帯域幅の高いビデオデコーダーを搭載。
- AppleのパワフルなProResビデオエンジンは、4Kと8K両方の複数ビデオストリーム再生を可能にする。
- Appleの最新のSecure Enclaveは、最高クラスのセキュリティを提供。
- 新しい画像信号プロセッサ(ISP)は、より優れたノイズ低減を実現。
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