コンテンツ・デリバリー・ネットワーク(CDN)大手の米・Akamaiは、独自のクラウドサービス「Akamai Connected Cloud」の提供開始を発表した。これは、開発者向けの、エッジ機能を充実させたグローバルな分散型クラウドネットワークとのことだ。
Akamai Connected Cloudは、コンテンツ配信のスペシャリストが現在すでに持っている広範なインフラを活用した、新しいクラウドコンピューティングプラットフォームとなる。このプラットフォームは、エッジコンポーネントが充実しており、よりデータに近いところでアプリケーションを実行できるようになることを約束している。
新しいデータセンターと小規模なサイト
1 年前、AkamaiはLinodeを9億ドルで買収した。当時Akamaiは、Linodeを自社のエッジプラットフォームおよびセキュリティサービスと結合させたいと述べていた。それが今回実現した形だ。
Connected Cloud をサポートするため、Akamaiは米国とヨーロッパで 3 つの大規模なクラウドデータセンターを立ち上げている。本年第2四半期に稼動し、既存の11拠点に加わる予定だ。Akamaiは、今年中にさらに 10 箇所のデータセンターを世界各地の非公開の場所に設置する予定だという。
また、Akamaiは、中核となるデータセンターに加え、CDNをサポートする多数の分散型サイトを有している。今年は50都市以上のサイトが追加される予定だ。それらの分散した拠点は、Connected Cloudを支えることにもなる。現在、Akamaiはすでに134カ国で4,100を超えるサイトを運営しているが、これらの拠点を通じて、コンピュータとストレージはより顧客の近くに置かれることになる。遅延低減の点で、デジタルサービスをグローバルに展開しようとする企業にとって、これは他にはない利点となるはずだ。
アグレッシブな価格設定
競争力を高めるため、Akamaiは積極的な価格戦略を採用する予定だ。特に、クラウドからデータを再利用することが非常に安価にできるようになる。これは、従来のハイパースケーラーが高額な費用を請求したがる部分だ。価格戦略は、CDNモデルを採用する予定だという。
Akamaiによると、このConnected Cloudは主に企業内の開発者をターゲットにしているとのことだ。つまり、同社は洗練された多数のサービスを提供するのではなく、膨大な数のクラウドインフラに独自のアプリケーションを展開したい企業を主なターゲットとしている。
また、ISO、SOC 2、HIPAAなどの各種規格の認証をすぐに取得できるサービスであることも付け加えている。今回の発表で共通しているのは、「セキュリティ」だ。最後に、Akamaiは新しいプログラムの中でパートナーと協力し、Connected Cloud と連動するターンキーソリューションをさらに充実させていく予定だ。
「私たちは、クラウドコンピューティングにまったく異なるアプローチで取り組んでいます。世界有数の組織のインターネットの拡張とセキュリティを担ってきた 25 年の経験が土台になっています。Akamaiは、次の10年のニーズを見据えてクラウドを構築しています。」と、Akamaiの共同創立者兼CEOのTom Leighton博士は語っている。
競争のための強固な基盤
数千のプレゼンスポイント(ローカルサイト)を持つAkamaiの CDN は、世界のインターネットトラフィックの約 15~30% を日々処理していると推定される。ネットワーク面では、Akamaiはすでにハイパースケーラーに匹敵する非常に広範なネットワークを持ち、さらに大きなローカルフットプリントを有している。
クラウドの容量(ストレージ、コンピューティングパワー、サービス)という点では、もちろんAkamaiはその実力を証明しなければならないが、同社は何十年にもわたって、大企業や中小企業のデジタルソリューションをサポートする信頼できるインフラパートナーであることを示してきた。そのため、Akamaiがハイパースケーラーと競合するようになったことは、決して的外れなことではないだろう。実際、これらのハイパースケーラー自身が CDN 機能をますます宣伝し、Akamaiの領域に入ってきているため、これは理にかなっているとさえ言える。
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