The New York Times紙のプライバシー担当記者が、夫の持ち物にトラッカーを隠して、AirTag(およびその競合製品)の精度とストーカー防止機能をテストしました。
The New York Times : I Used Apple AirTag, Tiles and GPS Tracker to watch my husband’s every move.
AirTagは、その比較的安価な価格と巨大な「探す」ネットワークによって、悪用される事例(ストーキング行為等)が一部では報告されています(Appleはこれに対して対策に乗り出しました)。ただし、AirTagは、「AirTagがここにあるよ!」と積極的に周囲に知らせようとする唯一のトラッカーでもあります。
The New York Times紙の記者Kashmir Hill氏は、この主張の信頼性を検証するため、夫をモルモットにしました。夫の許可を得て、AirTag、LandAirSea GPSトラッカー、Tileを夫に気づかれないように様々な場所に設置したのです。
最も正確で位置情報を頻繁に更新する追跡デバイスは、LandAirSea GPSトラッカーでした。月額20ドルのプランで、GPSと衛星を使って位置を追跡し、3分ごとに位置を更新しています。位置が変わるたびにユーザーを更新するジオフェンシングモードもあります。
Hill氏は、位置情報検出の精度については住んでいる場所に起因するとしています。
GPSトラッカーは、あまり密集していない地域の衛星にPingを打つ方が有利です。反対に、AirTagとTileは、Bluetoothでローカルデバイスにpingを打つ必要があるため、人口が少ない地域では不利となります。
まず、人口が少ない地域においての実験では、彼女の夫は、AirTagがあることを通知されることはあっても、一体どこにあるのかまでは分からなかったそうです。AirTagをiPhoneに接続することも、精密なトラッキングやサウンドを再生するのにも苦労したそうです。そして例え接続できたとしても、音によって方向が分かる事もなく、最終的にはAirTagを探すのをあきらめたそうです。
Tileは、専用ネットワークに依存しているため、Tileユーザーが近くにいたり、Tileのネットワークに接続しなければ、位置情報が更新されることはほとんどありません。逆にAirTagは、夫のiPhoneや通行人からの電波を受信すれば、いつでも更新することができました。
人口密集地域であるニューヨークを旅行したとき、Hill氏は、莫大なApple製品の密度を利用して、驚くほどの精度で夫を追跡することができました。彼女は、雇ったカメラマンに夫の居場所をいつでも伝えることができる程でした。
Hill氏はTileトラッカーについてほとんど言及しませんでしたが、それはおそらくその精度が期待通りの物ではなかったからでしょう。
そして、LandAirSeaトラッカーは、最もプライバシーの危険性が高い製品だったと言うことです。
彼女は、LandAirSeaトラッカーのメーカーに連絡を取り、製品についての詳細を聞きました。この製品は飛行機用のトラッカーとして使うものですが、同社はストーキング的な使い方がされていることについても認識しているとのことでした。
LandAirSeaの担当者はHill氏に、「確かにこの手の話はよく聞きます」と語りました。「『私の車にこれがついているのを見つけた。どうするつもりですか 』という電話を受ける事もあります」
同社は月に約15,000個のトラッカーを販売しており、悪意のあるトラッカーの所有者を特定するために、年間約30件の召喚状が出されています。LandAirSea社は、Apple社同様、発見したトラッカーは警察に通報するよう呼びかけています。
「AirTagは悪い評判を立てられてるんじゃないかと思う。検出の仕組みがあやふやな割に、少なくとも私は『AirTagが私を尾行しています』という通知を常に受け取っていました」とHill氏の夫は語りました。「それに比べて他のトラッカーのプライバシーの危険性はもっと酷かった」
アップルはAirTagを取り巻く懸念を認識しており、ストーカー行為や悪用を防ぐための新たな対策を発表している。今後も追跡通知に関するアルゴリズムを調整し、ストーキングの違法性について所有者を教育していく予定です。
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