A17 Proは、前回明らかになったベンチマークテストの結果により、A16 Bionicに対して小幅ながら着実な進化を見せてはいることが明らかになったが、新たなGPUベンチマークテストのリークでは、この初めて“Pro”の名を冠したモバイルチップの圧倒的な性能の向上が垣間見える結果となっている。最新の数値によると、新しいA17 Proチップは、GPUコアが追加されたためと思われるが、前モデルから20%の性能向上が見られるのだ。
GPUコアの追加が大きな性能向上をもたらした?
GeekBench 6によるGPUベンチマークテストの結果は、27,158ポイントと、非常に印象的なものとなっている。比較すると、筆者の環境になるが、2022年モデルのiPhone 14 Pro Maxに搭載されているA16 Bionicは、22,946ポイントを記録しており、A17 Proは18%の性能向上が見られる。ただし、A16 Bionicが5コアだった事から、6コアのA17 Proの印象的な性能向上は、単純にコア数の増加による物と見ることも出来る。
実際、もしA17 Proが同じ数のGPUコアを搭載していたら、CPUのシングルコアやマルチコアの結果と同様に、あまりパッとしない結果になっていたかも知れない。人気テクノロジーYouTubeチャンネル「Max Tech」を運営するVadim Yuryev氏の調査結果によると、A17 Proのコアあたりの性能は4,526ポイントで、A16 Bionicは4,455ポイントだった。その差はわずかなもので、そう考えるとやはり、この改善された結果は間違いなくGPUの追加によるものだろう。
If we look at the performance per core, the A17 Pro is giving us 4,526 while the A16 gives us 4,455.
— Vadim Yuryev (@VadimYuryev) September 15, 2023
Not that different at all in terms of the performance of each core.
Looks like Apple is saving the gains for the A18 Pro by keeping the clock speed the same as on A16!
全体として、A17 ProのGPU性能は、Appleのマーケティング資料で公表されている数値と一致している。しかし、A17 Proの更なる利点は、レイトレーシングへの対応だ。Appleの基調講演で、同社は最新のSoCがハードウェアアクセラレーションによるレイトレーシングをサポートし、A16 Bionicより4倍高速であることに言及した。A16 Bionicではこれが叶わなかったため、A17 Proでの対応は大きな進化と言えるだろう。
総じて、Appleの最新モバイルチップの3nmプロセスへの移行によるメリットは、GPUコア数の増加に割かれた可能性がありそうだ。だが、TSMCの最先端3nmプロセスで大量生産されたにもかかわらず、A17 ProはCPU・GPU両カテゴリーにおいて、驚く程の性能向上は見せていない。このことは、製造プロセスの改善に頼ってだけでは、すぐに性能を向上させることはできないということを示唆している。
Source
- GeekBench: iPhone16,2
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