宇宙創成の頃から存在するブラックホールが10年に1度太陽系を通過して惑星軌道に影響を与えているかも知れない

masapoco
投稿日
2024年1月20日 15:58
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マサチューセッツ工科大学理論物理学センターの研究者らは、宇宙の始まりから存在する原始ブラックホール(primordial black holes: PBH)が、少なくとも10年に一度太陽系を通過し、太陽系内の惑星の軌道に大混乱をもたらし、”ぐらつき”や “揺れ”を引き起こし、惑星を移動させていることを示唆するという研究結果を発表している。

彼らによれば、このブラックホールを検出することが出来れば、これがダークマター(暗黒物質)として存在するという最初の証拠になると言うのだ。

ダークマターとは、光や電磁場と相互作用しない仮説上の物質で、宇宙を構成する物質の約27%を占めると推定されている。

マサチューセッツ工科大学理論物理学センターのTung Tran氏、Sarah Geller氏、Benjamin Lehmann氏、David Kaiser氏らがLive Science誌に語ったところによれば、これらの仮説上のPBHは、「水素分子の大きさと平均的なバクテリアの大きさの間」という、超ミクロサイズで存在しているという。

これだけ小さなサイズであれば、いくらブラックホールとはいえ惑星を破壊する事はない。だが周囲に全く影響を与えないわけでもなく、このミクロサイズの原始ブラックホールは惑星のそばを通過する際に、惑星の軌道に微妙な影響を与えるというのだ。著者らは、「PBHが惑星のそばを飛ぶと、その惑星はフライバイする前に通っていた経路を少しふらついたり揺れたりし始める」と、Live Scienceに述べている。その結果、惑星と太陽の間の距離の測定値は、時間とともに振動することになるのだという。

研究チームは、JPLのホライズンズ・データベース(100万個の太陽系天体の位置が記録されている)の惑星と衛星の位置に関するデータを使って、小惑星とほぼ同じ質量の天体と仮定する原始ブラックホールが、我々の恒星からわずか2天文単位(地球と太陽の間の距離の2倍)以内に接近した場合、惑星の軌道がどのように変化するかをシミュレーションした。彼らの計算によれば、その結果生じるぐらつきは、数cmから数mの範囲に及ぶ可能性があるという。

しかし、実際にこれらのゆらぎを検出し、それが原始ブラックホールの通過による影響の結果であることを確認することは、非常に困難だろう。研究によれば、いくつかの測定の誤差は、惑星がPBHによって押されるであろう距離と非常に似ているのだという。つまり、現在の検出精度では仮に原始ブラックホールが通過したとしても、天文学者はそれが測定器の誤差によるものなのか、実際の原始ブラックホールによるものなのかを判断することができないのだ。

より正確な答えを出すためには、「より精密な太陽系シミュレーションと数十年にわたる高精度の観測データを使う必要がある」と研究者たちは論文に書いている。


論文

参考文献

研究の要旨

原始ブラックホール(PBH)は、小惑星質量の範囲では、依然として実行可能な暗黒物質候補である。このシナリオでは、PBHの存在量は、10年に少なくとも1つの天体が太陽系内を通過するのに十分な大きさになると指摘する。太陽系エフェメライドは非常に高い精度でモデル化され測定されているため、このような接近遭遇は特徴的な軌道の摂動を引き起こす可能性がある。我々はこの可能性を簡単な太陽系シミュレーションで評価し、小惑星質量のPBHの存在量は、現存する、あるいは近い将来のデータによって、もっともらしく探ることができると主張する。



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