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Googleは、プライバシーサンドボックスが本格的に稼働したことを発表した。

これは、広告配信と分析技術のセットであるPrivacy Sandbox APIが、Chromeブラウザの最新バージョンで機能するようになった事を意味する。Webサイト開発者は、これらのAPIを呼び出すコードを書くことで、互換性のあるブラウザを持つ訪問者に広告を配信し、測定することができるのだ。

つまり、閲覧履歴からChromeが自動的に選択した、閲覧者がどのようなトピックに興味を持っているかを、サイトがChromeに直接問い合わせることができ、閲覧者の行動に合わせてパーソナライズされた広告を配信することができる。これは、これまで広告の追跡に用いられてきたが、段階的にサポートが終了しているサードパーティのCookieよりもユーザーにとっては好ましいものだろう。

ChromeがPrivacy Sandboxコードの主要な手段である一方で、オープンソースのChromiumプロジェクトに基づくMicrosoft Edgeもまた、この技術をサポートする兆しを見せている。AppleとMozillaは、プライバシーを理由に、少なくともインタレストベース広告のためのTopics APIを拒否している。

GoogleのPrivacy Sandbox initiativeの副社長であるAnthony Chavez氏は、発表の中で次のように述べている。「本日、我々は、Webにおけるプライバシーサンドボックスの大きな節目を迎えました。このマイルストーンは、基本的によりプライベートなWebの実現に向けた重要な一歩です」。

Googleのプライバシーの定義は、多くの人が理解する辞書的な定義ではない。むしろ、広告業界や法的な定義であり、プライバシーとは、公開か非公開かという二元的な状態ではなく、広告でサポートされるコンテンツへのアクセスを得るための、同意に基づく情報の取引という概念なのだ。

Googleが「よりプライベートなWeb」、あるいは「より侵入的でないWeb」と呼ぶものは、少なくとも、Cookieによって可能になる個人データの奔放な利用よりはマシな物という認識の方が良いかも知れない。

Googleによると、「サードパーティのCookieやその他の識別子によって、サイトやアプリ全体であなたの行動を追跡することが可能になり、あなたのデータはあなたが望む以上に広く共有される可能性があります」。反面、「プライバシーサンドボックスの技術は、あなたの個人情報をよりプライベートに保ち、あなたについて収集されるデータの量を最小限に抑えながら、あなたにパーソナライズされた広告を表示するためのサイトやアプリの代替方法を提供します」と、両社の違いを説明している。

これらのAPIには以下が含まれる:

  • Topics: サードパーティのCookieやサイトを横断して追跡できる識別子を使用せずに、ローカルで閲覧履歴を追跡し、実証されたユーザーの興味に基づいた広告を生成する。
  • Protected Audience (FLEDGE): リマーケティングのための広告を配信する(例:あなたが靴のWebサイトを訪問したので、別の場所で靴の広告を表示するような形)。
  • Attribution Reporting: 広告クリックや広告閲覧をコンバージョンイベント(売上など)に結びつけるためのデータ。
  • Private Aggregation: 保護されたオーディエンスからのデータと共有ストレージからのクロスサイトデータを使用して、集計データレポートを作成する。
  • Shared Storage:プライバシーを保護した読み取りアクセスで、無制限のクロスサイトストレージ書き込みアクセスを許可します。つまり、広告関連データや不正使用防止コードのためのローカルストレージをChrome経由で提供します。
  • Fenced Frames: クロスサイトデータを共有することなく、安全にコンテンツをページに埋め込むことができます。または、セキュリティやプライバシーのリスクを伴わない iframe です。

これらのテクノロジーにより、Googleと広告業界は、ターゲット広告の収益が落ちることなく、来年にはChromeのサードパーティCookieのサポートを停止できると考えている。

Googleはこの数ヶ月間、新しい広告技術に合わせた新しいプライバシーコントロールをポップアップ通知で告知し、Chrome使用者にこの移行を準備してきた。

米国では、一貫性のあるプライバシー規則がないため、広告会社にとっては好都合である。このポップアップは、これらのAPIがブラウザに存在し、有効であることをユーザーに知らせるだけで、実際に管理するにはChromeの設定ページにアクセスする必要がある。まだオプトアウトしていない場合は、オプトアウトする必要がある。EUでは、法律で義務付けられているとおり、この通知は、トピックを介したインタレストベース広告へのオプトインを促すものだ。

Googleは、Privacy Sandbox APIについて「業界からの広範なフィードバック」を受けており、来年後半のサードパーティCookieの非推奨化に先立ち、大きな変更を加える可能性はないと述べている。それに先立ち、2024年第1四半期にChromeユーザーの1パーセントを対象にサードパーティのCookieサポートを停止する予定であり、開発者がテストのためにCookie非推奨をシミュレートできる「オプトイン・テスト・モード」が今年後半にリリースされる予定だ。


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