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画像生成AI「Stable Diffusion」と「Midjourney」が著作権を侵しているとして集団訴訟を起こされる

AIアートジェネレーター「Stable Diffusion」と「Midjourney」を開発したStability AIとMidjourney、そして最近独自のAIアートジェネレーター「DreamUp」を作ったアーティストポートフォリオプラットフォームDeviantArtに対して、3人のアーティスト(Sarah Andersen, Kelly McKernan, Karla Ortiz)がカリフォルニア州連邦地方裁判所に提訴した。

代理人は、弁護士でタイポグラファーのMatthew Butterick氏が、反トラスト法と集団訴訟事件を専門とするJoseph Saveri法律事務所と共に務める。

この告発は、複数のアーティストがAIによって作品を盗作・複製され、著作権を侵害されたことに対するものであり、特に、著作権侵害、米国デジタルミレニアム著作権法違反、契約違反について、上記プラットフォームを非難している。この訴訟は、クラスアクション、すなわち損害を被った可能性のあるすべてのアーティストを代表して起こされる集団訴訟であり、他のアーティストが参加することも可能となっている。

Joseph Saveri法律事務所の創設者であるJoseph Saveri氏は、自身の事務所の公式声明で、こう述べている。

「急成長するテクノロジーが現代社会のあらゆる側面を変え続ける中、違法な窃盗や詐欺からアーティストの権利を認識し保護することは非常に重要です。この事件は、すべてのアーティストやその他のクリエイターの所有権を守るためのより大きな戦いを象徴しています。」

Josephe Saveri – Joseph Saveri Law Firm, LLP

また、訴訟を発表したブログ記事で、Butterick氏はこの事件を 「AIを誰にとっても公平&倫理的にするためのもう一つのステップ」であると述べ、Stable DiffusionのようなAIアートツールの能力は、「本質的に無制限の数の侵害画像で市場を氾濫させ、アートとアーティストの市場に永久的な損害を与える」と指摘している。

AIアートツールが過去1年間に爆発的に普及して以来、アートコミュニティは強く反発している。PhotoshopIllustratorのような旧世代のソフトウェアのように、これらのツールが役に立つと言う人がいる一方で、AIを訓練するために自分の作品が使われ、それが金儲けに利用されることに反対する人も多くいる。AIアート生成モデルは、Webからスクレイピングされた何十億もの画像をもとに、一般にクリエイターの認識や同意なしに学習されている。AIアートジェネレータは、特定のアーティストのスタイルを再現したアートワークを作成するために使用することができる事も問題視されている。

訴訟の原告3名のうちの1人で、映画、テレビ、ゲームなどで活躍し、MARVEL Studioのアートも手がけるアーティスト、Karla Ortiz氏が、自身のTwitterアカウントで、今回の訴訟について説明し、芸術家階級の闘争の重要性について語る長いスレッドを書いている。

深く搾取するAIメディアがどのように(その芸術を)実践しているかを学ぶうちに、正しいことをするための法的な前例がないことに気づかされました。それを変えよう。[中略] 私は、このクラスアクションの指名された原告の一員であることを誇りに思います。私は、同僚たちとともに、何千人もの影響を受けるかもしれないアーティストたちの声を届けることができることを誇りに思っています。今、私たちは公的な場だけでなく、法廷でも自分たちの権利を守るために戦っていることを誇りに思います。

Karla Ortiz

今回提訴された3社はいずれも、「LAION-5B」のデータベースに含まれる数十億枚の画像をもとにしたAIモデル「Stable Diffusion」を共同で使用している。使用された画像の中には、数十億の著作権で保護された芸術が含まれていると訴追されている。

したがって、これらの画像の使用が、著作権侵害、詐欺に関する法律の侵害、DMCA(デジタルミレニアム著作権法)違反、アーティストのクラスパブリシティ権の侵害、DeviantArtの利用規約に関する契約違反、カリフォルニア州の各種不平等競争法違反につながることを想定して訴訟を提起している。

今回の集団訴訟は、権利侵害の疑いに対する損害賠償を求めるだけでなく、今後の問題回避を先導するために有利な判決を得ることを目的としており、さらに踏み込んだ内容になっている。

ただし、これらのシステムが著作権法を侵害するかどうかは複雑な問題であり、専門家は法廷で決着をつける必要があると述べている。AIアートツールの制作者は一般に、著作権で保護されたデータに対するこのソフトウェアの訓練は、(少なくとも米国では)フェアユースの原則でカバーされていると主張している。しかし、フェアユースに関わるケースはまだ訴訟が必要であり、AIアートジェネレーターに関しては多数の複雑な要因がある。これらのツールの背後にある組織の所在地(EUと米国ではデータスクレイピングに対する法的許容範囲が微妙に異なるため)や、これらの機関の目的(例えば、Stable Diffusionのトレーニングに利用されているLAIONデータセットは、ドイツに拠点を置く研究非営利団体が作成しており、非営利団体は、フェアユースのケースでは通常の企業よりも有利に扱われる場合がある)などが挙げられる。

加えて、Butterick氏とJoseph Saveri法律事務所が起こした訴訟も、技術的に不正確な点があるとして批判を浴びている。例えば、この訴訟では、AIアートモデルは「(著作権で保護された)学習用画像の圧縮コピーを保存」し、それを「再結合」し、「21世紀のコラージュツール(のようなもの)」として機能する、と主張している。しかし、AIアートモデルは画像を保存しているのではなく、画像から収集したパターンの数学的表現を保存しているに過ぎない。また、コラージュのように画像の断片をつなぎ合わせるのではなく、数学的表現に基づいてゼロから絵を作り上げていると言う点で、同氏らの指摘する部分が全くの見当違いである点も今後訴訟の流れを左右してくる所だろう。

なお、Matthew Butterick氏とJoseph Saveri法律事務所は、OpenAIとMicrosoft、GitHubに対して、「Copilot」関する同様の集団訴訟を起こしており、こちらもまだ係争中だ。


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masapoco

TEXAL管理人。中学生の時にWindows95を使っていたくらいの年齢。大学では物理を専攻していたこともあり、物理・宇宙関係の話題が得意だが、テクノロジー関係の話題も大好き。最近は半導体関連に特に興味あり。アニメ・ゲーム・文学も好き。最近の推しは、アニメ『サマータイムレンダ』

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