AMD、CPUとGPUを一つにした巨大なAPU「Instinct MI300」を公開 – 次世代データセンター・HPC向けに2023年後半に登場予定

masapoco
投稿日
2023年1月6日 16:17
instrict mi300 4

AMDは、現在開発中の次世代データセンター向けAPU「Instinct MI300」の情報を一部明らかにした。Lisa Su CEOは、そのシリコンを手にしながら、基本スペックを説明するとともに、HPC市場でリーダーシップを発揮するというAMDの意思を改めて表明した。

2022年6月にAMDが開催した2022 Financial Analyst Dayで初めて公開されたMI300は、AMDのCPUとGPU技術の長所を組み合わせた、真のデータセンター/HPCクラスのAPUを構築するための最初の試みである。当時発表されたように、MI300は、TSMCの5nmプロセスで製造された複数のチップレットを使用し、3Dダイ・スタッキングを利用してベースダイ上に配置する分解設計となり、そのすべてがオンパッケージHBMメモリと組み合わせて、AMDの利用可能メモリ帯域を最大化する予定である。

AMDは、ラップトップCPU/APUを見ればわかるように、CPUとGPUの能力を組み合わせることには慣れているが、これ程までに大規模に行うのは、このMI300が初の試みとなる。AMDの現在のベストインクラスのHPCハードウェアは、ディスクリートのAMD Instinct MI250X(GPUのみの製品)とAMDのEPYC CPUを組み合わせたもので、これはまさにFrontierスーパーコンピュータやその他のHPCプロジェクトで行なわれてきたものである。その次のステップであるMI300では、2種類のプロセッサを1つのパッケージにまとめ、単なるMCM配線ではなく、TSVスタックダイによるフルチップレット方式で、各パーツ間の非常に高い帯域幅の接続を可能にする

今回、MI300のシリコンを披露したことは、2023年の発売を予告していた同社の約束が、文字通り間に合いそうだというサインだろう。

Su博士によると、1,460億トランジスタのMI300は、AMDがこれまでに製造したチップの中で最大かつ最も複雑なものだ。現在のチップ設計と比較するしかないが、これはIntelの1000億トランジスタのXeon Max GPU(Ponte Vecchio)や、NVIDIAの800億トランジスタのGH100 GPUよりも大幅に多くのトランジスタを搭載していることになる。(とはいえ、AMD自身のMI300はCPUとGPUを一つにしているので、単体で見れば同等レベルかも知れない)

MI300のCPU側は、AMDのZen 4 CPUコアが24個採用されることが確認され、ようやくCPUのスループットに関する基本的な見通しが立ったことになる。一方、GPU側には(まだ)未発表のCDNA 3アーキテクチャのCUが採用されている。これら全てに、128GBのHBM3メモリが組み合わされている。

AMDによると、MI300は9個の5nmチップレットと4個の6nmチップレットの上に乗って構成されている。5nmのチップレットは、間違いなくコンピュートロジックチップセット、つまりCPUとGPUのチップレットだ。ただし、その詳細についてはまだ不明だ。現時点では、3つのCPUチップレット(各8 Zen 4コア)と、おそらく6つのGPUチップレットの組み合わせが考えられる。一方、AMDの「on top of」発言を文字通りに解釈すると、6nmチップレットは、これらすべての上に乗っているベースダイとなる。AMDのレンダーに基づくと、8つのHBM3メモリスタックがあるように見えるので、それ以上でないとしても、約5TB/秒のメモリ帯域幅を意味することになる。

性能の期待値に関しては、AMDは現時点で新しいことはまだ述べていない。以前は、MI250Xに対してAI性能はワット当たり5倍以上、AIトレーニング性能は全体で8倍以上向上すると主張していたが、これはCESの時点でもAMDが主張していることだ。

AMDの設計の主な利点は、CPUコアとGPUコアを同じ設計に載せるという運用の簡便さのほかに、両方のプロセッサタイプで高速かつ低レイテンシのユニファイドメモリ空間を共有できるようになることである。これにより、CPUコアとGPUコア間のデータの受け渡しが高速かつ容易になり、それぞれが得意とするコンピューティングを行うことができるようになる。物理的な差異を隠すためのコピーによる仮想メモリ空間ではなく、物理的に統一された真の共有メモリ空間だ。

AMDは、これまでで最も野心的なプロセッサを披露することを熱望しているため、今後数カ月のうちにInstinct MI300に関する多くの情報を得ることが期待できるだろう。


Source



この記事が面白かったら是非シェアをお願いします!


  • android auto screen
    次の記事

    Android Autoのリデザインが正式にリリース

    2023年1月6日 17:07
  • 前の記事

    EcoFlow、米ラスベガスで開催中の「CES 2023」にて家庭用蓄電システムとスマートデバイス3機種を初公開

    2023年1月6日 15:13
    sub1
この記事を書いた人
masapoco

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


おすすめ記事

  • a04c35e8e555c1cc7ae1d6a5f3159856

    MicrosoftとOpenAI、1000億ドル以上をかけて超人的AI開発のためのスーパーコンピューター「Stargate」を開発する計画

  • TSMC FAB18

    TSMCの3nmノードが急成長、2024年は収益の20%以上を占める可能性

  • us china

    中国、政府機関のコンピュータにIntelとAMDのプロセッサー使用を禁止へ

  • cyberpunk 2077 night city wire june 2020 nvidia geforce rtx exclusive screenshot 001

    Microsoft、SSDを活用し少ないVRAMでもレイトレーシング性能を向上出来る手法の特許を公開

  • AMD Ryzen AI

    AMDの次世代モバイルチップ「Strix Point」はSnapdragon X Eliteを大きく上回るAI性能を発揮か?

今読まれている記事