Epic Gamesの人気バトルロイヤルゲーム「Fortnite」は、2020年8月以降、Appleのプラットフォームガイドラインに違反したとして、App Storeから削除された。この措置は今も続いており、FortniteはiOS及びiPadOSではプレイできない状態が続いている。
全くプレイできないわけではなく、MicrosoftのXbox Cloud Gamingを用いれば間接的にプレイできるようにはなっているが、マシンでネイティブに動作する環境と比較すると、やはりレスポンスの面では不満も残る。特に、バトルロイヤルゲームという一瞬の判断が勝敗を左右するような特性のゲームならばなおさらだ。
だが、この状況も変わるかも知れない。
Epic GamesのCEOであるTim Sweeney氏は新年のツイートで「Fortnite」がiOSとiPadOSに帰ってくることを示唆している。
これについては、AppleとEpic Gamesの和解によるものではなく、先日お伝えした、「Appleが規制当局によってサードパーティによるアプリストアの許可を迫られている」ことが関わってくるようだ。
そもそもFortniteがApp Storeから排除された原因は、既存のApple In-App Paymentsプラットフォームと並んでEpic GamesがFortniteに独自の二次決済システムを追加したことによる。これはAppleのアプリ内課金の仕組みを迂回し、App Storeのガイドラインに違反するものであり、それによって同ゲームはApp Storeから全面的に禁止されたのだ。
FortniteがApp Storeに復帰するという可能性もゼロではないだろうが、訴訟の控訴手続きが続いていることを鑑みると、まだ和解には至らないだろうというのが大方の予想である。
ちなみに、12月にThe VergeとのインタビューでSweeney氏は、Appleとの戦いに勝利するために必要であれば、最高裁まで闘うことを主張した。「私たちは、私たちが求めているものを得るために必要な限り戦うつもりです。そして、もしAppleがそのために和解するならば、我々は今日にでも和解するだろう。」
代わりに、ヨーロッパの新しいデジタル市場法やDMA法に準拠するために、Appleが、iOS/iPadOS 17とiPhone/iPad上でアプリのサードパーティ製のアプリストアまたはサイドロードを可能にする可能性が高く、それによってFortniteがiOSやiPadOSに戻る可能性があるのだ。この場合、App Storeを通じてゲームが提供される必要はない。その代わりに、Epic Game StoreがiOS/iPadOSに登場し、そこからFortniteをインストールしてプレイできるようになるかも知れない。
iOS 17でサードパーティ製アプリストアの導入が開始されると仮定すると、今年の10月頃にはもしかしたらFortniteがiOS/iPadOSでプレイできるようになる可能性もある。
ただし、iOS 17でのサードパーティ製アプリストアの導入は、実際に導入されるものではなく、準備のための動きである可能性もある。セキュリティやプライバシーの観点からサイドローディングや代替アプリマーケットプレイスに対してAppleが抵抗を続けていることを考えると、Appleができる限り導入に抵抗するのもあり得る話だ。そして、App Storeという金のなる木を手放さなければならないとなると、その時期をなるべく遅くしたいのも本音だろう。
また、Appleがもしサードパーティー製のアプリストアを許可したとしても、何らかの形で手数料を徴収する可能性もあるとのことで、アプリへの課金額としてはあまり変わらない可能性もゼロではない。
いずれにせよ、長らく閉鎖的だったiOSについては、少しずつ外圧もあって開放的になって来ているのは確かである。USB-Cの導入も同様にEUの圧力に負けて始まりそうだと言うことで、今年はこれまでにない大きな地殻変動が起こる年にもなりそうだ。
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