太陽光発電パネルを搭載する事により、従来の電気自動車よりも格段に充電器から充電する頻度を下げることに成功した、世界初のソーラーEV「Lightyear 0」が、ついに生産に入った。
世界が電気自動車に移行するにつれ、新たな課題も浮上してきている。その最たるものは、“充電”の問題だ。内燃機関の自動車のように、ガソリンスタンドが充実しているわけでもなく、また、給油してすぐに走り出せるガソリン車とは違い、電気自動車は充電に時間がかかるのは周知の事実だ。
バッテリー技術の進歩により、ここ数年、充電時間は大幅に短縮されているが、それでもガソリン車の利便性にはまだまだ遠く及ばない。こうした問題に1つの答えを提示するのが、Lighthyearだ。太陽電池で動く同社のソーラーEVは、インフラに依存することはない。
Lighthyear 0は、従来のバッテリーEVと同様に、コンセントによって充電することが可能だ。搭載されるバッテリーは60kWhと少なく、バッテリーによる航続距離は、1回の充電で288マイル(約463km)となっている。だがさらに、ソーラー充電を併用すれば、最長で432マイル(695km)の走行が可能だ。
ドライバーが毎日バッテリーをフルに使い切ることは考えにくいため、パネルは毎日Lightyear 0を充電し続け、毎日走行距離を増やしていく。平均的な通勤距離を35kmとすると、Lightyear 0はコンセントの充電器に接続する必要がない状態で2ヶ月間使用することができるとのことだ。
更に、このクルマはエアロダイナミクスに優れるデザインを採用しており、またデザインも美しく、ソーラー充電のために妥協する必要もない。
Lightyearは、フィンランドに本拠を置くValmet Automotive社と、その生産のために提携をした。Valmetは10年以上にわたってEVの生産に携わっており、これまでにMercedes-Benz、Porche、Saabといった自動車業界の大企業とコラボレーションしてきた。
当初は週に1台のペースで生産し、2023年第1四半期までに生産規模を拡大する予定だ。
LightyearのCEOで共同創業者のLex Hoefslootは、「最初のソーラーカーであるLightyear 0の生産開始は、誰もが、どこでも、クリーンな移動ができるという我々の使命に大きく近づきました。私たちはこれを達成した最初の人間かもしれませんが、最後でないことを望んでいます。」と声明で述べている。
当然のことながら、このようなユニークなEVは、決して安くはない。Lightyearのセダンは25万ユーロ(3,500万円)からだ。このブランドは、今後10年以内に「Lightyear 2」と呼ばれるもっと手の届きやすいソーラー電気自動車を発表する予定だ。
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