AIを使って、これまで10万もの方程式が必要だった複雑な問題をわずか4つの方程式に圧縮することに成功

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米国のフラットアイアン研究所(Flatiron Institute)の研究者らは、機械学習ツールを訓練したことで、これまで10万もの方程式を必要とした困難な量子力学的問題を、精度を犠牲にすることなく、わずか4つの方程式で表現することが出来る様になったと発表した。

今回、研究者らが取り扱った問題は、「電子が格子状の格子の上を移動するときにどのような振る舞いをするかというもの」だ。2個の電子が同じ格子上を占めると、相互作用が生じる。ハバード模型と呼ばれるこのモデルは、いくつかの重要な物質群を理想化したもので、電子が抵抗なく物質中を流れる超伝導など、求められている物質の相がどのように生じるかを科学者が学ぶためのものだ。また、このモデルは、より複雑な量子系に新しい手法を適用する前の実験場としての役割も果たしている。

ハバード模型は一見驚くほど単純だ。だが、電子の数がわずかでも、従来の計算手法では、膨大な計算能力を必要とする。なぜなら、電子が相互作用すると、量子もつれを引き起こすからだ。このため、計算に当たっては、一度にすべての電子を扱わなければならない。そして、電子の数が増えれば増えるほど、より多くのもつれが発生し、計算が飛躍的に難しくなる。

このような複雑な量子系を研究する 方法の1つに、くり込み群と呼ばれる手法がある。これは、科学者が温度などの特性を変更したり、さまざまなスケールで特性を調べたりしたときに、ハバード模型などのシステムの動作がどのように変化するかを調べるために物理学者が使用する数学的装置だ。残念ながら、電子間のすべての可能な結合を追跡し、何も犠牲にしないくりこみ群には、解く必要のある個別の方程式が数万、数十万、さらには数百万含まれる可能性があるという。その上、それぞれが相互作用する電子のペアを表しています。

このような複雑かつ膨大な計算が必要な問題には、従来では量子コンピュータが必要になると言われていた。

ニューヨークのフラットアイアン研究所の計算量子物理学センター (CCQ) の客員研究員でシティとイタリアのボローニャ大学の助教授ある、研究の筆頭著者である Domenico Di Sante 氏は、ニューラルネットワークと呼ばれる機械学習ツールを使って、繰り込み群をより扱いやすくできないだろうかと考えた。ニューラルネットワークは、ニューラルネットワークとは、脳内の神経細胞(ニューロン)のネットワーク構造を模した数学モデルだ。まず、機械学習プログラムは、フルサイズの繰り込み群に接続を作り出す。次にニューラルネットワークは、元の巨大サイズの繰り込み群と同じ解を生成する小さな方程式のセットを見つけるまで、それらの接続の強さを調整する。最終的に、このプログラムの出力は、たった4つの方程式でもハバード模型の物理を捉えていた。

「これは本質的に、隠れたパターンを発見する力を持った機械なのです。この結果を見たとき、私たちは『これは予想以上だ』と思いました。関連する物理を本当に捉えることができたのです。」と、Di Sante教授は述べている。

機械学習プログラムのトレーニングは、多くの計算力を必要とし、プログラムは、丸々数週間稼働した。しかし、Di Sante氏によれば、機械学習プログラムを指導してもらえば、他の問題にも応用できるようになり、ゼロから始める必要がなくなるということだ。Di Sante教授と共同研究者たちは、機械学習が実際にシステムについて何を「学習」しているのかについても調査しており、そうしなければ物理学者には読み解くのが難しいような、新たな知見が得られるかもしれない。

最終的には、電子が長距離で相互作用する物質など、より複雑な量子系に対して、この新しいアプローチがどの程度有効であるかが最大の未解決問題となる。さらに、宇宙論や神経科学など、繰り込み群を扱う他の分野でもこの手法を使える可能性があると、Di Sante氏は言う。

AIを使って、従来の物理学見直す試みはこれ以外にも見られる。少し前には、AIに現象を観察させた結果、AIが新たな物理変数を発見し、人類の作り出したものとは別の形で現象を表現するAIが話題になった。

人類の知性だけではいつか限界が来るのかも知れないが、人類はAIを使ってその限界を乗り超え、これまで達成することが出来なかった新たな物理の理論が発見されるかも知れない。

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