ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(英名:James Webb Space Telescope:JWST)がついに最初のフルカラー画像を公開した。先週テスト画像を公開したJWSTだが、既にその驚愕の性能の一端を垣間見せており、フルカラー画像も素晴らしい物になるだろうと思っていたが、本日公開されたフルカラー画像は、想像を超えて素晴らしく、思わず息を飲むほどだ。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は46億年前の宇宙をこれまでにない鮮明な姿で写し出した
本日、2022年7月11日(現地時間)NASAのライブストリームで、Joe Biden米国大統領は、JWSTからの最初の公式画像を公開し、SMACS 0723と呼ばれる遠方の宇宙のこれまでにない鮮明な姿を見せてくれた。
JWSTの素晴らしい赤外線分解能と巨大な鏡のおかげで、これまで私たちが覗いた宇宙の中で最も遠い過去の姿が写し出されているのが分かるだろう。(高解像度版はこちら)
遙か遠くの宇宙を観察するのに、赤外線をより高精度に観察できるツールは欠かせない。これは、100億光年を越える様な遠方の天体から届く光は、赤方偏移により赤外線領域まで波長が引き延ばされてしまうためだからだ。JWSTはこれまでにない性能で赤外線が観察でき、我々がこれまで到達できなかった時空を越えて、宇宙がどのように始まったかについて、これまで不明だったことを解明する一助となる事が期待されている。
そのためのツールのひとつが、ディープ・フィールド(深宇宙)画像だ。ディープ・フィールドについては、これまでにもハッブル宇宙望遠鏡が、何度もディープ・フィールド撮影を行っている。
SMACS 0723は、前景に巨大な銀河団があるため、この種の観測には特に適したターゲットとなる。
これら巨大な銀河団は、まるで巨大な宇宙の拡大鏡のような働きをするのだ。銀河団がもつ巨大な質量のために、重力によって周囲の時空が大きく湾曲させられ、より遠くの天体からの光を拡大する効果があるのだ。(重力レンズ効果)
このような重力レンズは、これまでにも遠方宇宙の壮大で詳細な姿を描き出してきた。このSMACS 0723の画像では、12.5時間の露光時間の間に、何千もの銀河を見ることができ、その多くは初めて見るもので、これまで赤外線で見た中で最も暗い天体も含まれている。
以下に、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡とで同じ領域を撮影した画像の比較が掲載したが、JWSTがどれだけ桁違いの素晴らしい性能を誇っているかが分かるだろう。
1996年のプロジェクト開始以来、JWSTにとってこのプロジェクトは壮大な旅であり、遅延や挫折に悩まされたものだった。
そして今回、この望遠鏡から想像を超えた素晴らしい宇宙の画像をようやく見ることができたことは、多くの人々にとって感慨深く、素晴らしい出来事だろう。
この画像は、2022年7月11日18時15分(米国東部標準時22時15分)に発表されたもので、これから見られる多くの画像のうちの最初の1枚に過ぎない。
NASAはJWSTの初期の撮影ターゲットとして「SMACS 0723」の他に「南のリング星雲」「WASP-96 b」「ステファンの五つ子銀河」「イータカリーナ星雲」を選定している。
明日、2022年7月12日午前10時30分(日本時間14時30分)、NASAはJWSTの残りの初画像を1枚ずつ公開し、その模様はライブストリーミングで記者会見する予定とのことだ。
コメントを残す