ここ2年ほどのグラフィックスカードの入手困難性と価格の暴騰を考えると、最近の暗号通貨の下落によるグラフィックスカードへの価格の影響は、ゲーマーとパワーユーザーにとって好ましい物だろう。そしてその傾向はしばらく続くかも知れない。
Tom`s Hardawre : Below MSRP and Only Getting Cheaper: The GPU Deluge Begins
先週、暗号通貨は大幅に下落し、ビットコインとイーサリアムだけで30〜40パーセントの下落となっている。この急激な価値の低下により、マイナーは採算が合わなくなってきたためグラフィックスカードを手放すケースが増えているようだ。
Tom’s Hardwareによると、この大幅な下落は2018年に見られた現象と同じ形を見せており、既に小売店と中古市場において、は市場の崩壊が始まっていると指摘している。これが市場に長期的にどのように影響するかはまだわからないが、暗号通貨マイナーが大規模なパニックに陥り、デジタル通貨の将来に大きな影響を与える懸念がある。投資収益率(ROI)が毎日ではなく時間単位で影響を受けるようになったため、マイナーはGPUや暗号通貨マイニングリグへの投資から得られる金額を取り戻すために急いでいるようだ。
Tom’s Hardwareは、暗号通貨マイニングで最も人気のあるブランドであるNVIDIAGPUの価格とeBayの価格の間の過去数週間の価格を表にまとめている。以下の表は、今月初めから15日までの調査結果を示している。
Tom`s Hardwareによる集計 | 希望小売価格 | 6月1日時点の小売価格 | 6月15日時点の小売価格 | 15日間での小売価格の変動 | eBay 現在販売価格 | 6月1日時点のeBay平均売価 | 6月15日時点のeBay平均売価 | 15日間でのeBay売価の変動 |
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GeForce RTX 3090 Ti | 2,000ドル | 1,900ドル | 1,800ドル | -5% | 1,670ドル | 1,829ドル | 1,672ドル | -9% |
GeForce RTX 3090 | 1,500ドル | 1,550ドル | 1,500ドル | -3% | 890ドル | 1,438ドル | 1,265ドル | -12% |
GeForce RTX 3080 Ti | 1,200ドル | 1,000ドル | 1,000ドル | 0% | 850ドル | 1,134ドル | 1,000ドル | -12% |
GeForce RTX 3080 12GB | 該当なし | 800ドル | 870ドル | 9% | 840ドル | 959ドル | 936ドル | -2% |
GeForce RTX 3080 | 700ドル | 800ドル | 770ドル | -4% | 641ドル | 899ドル | 743ドル | -17% |
GeForce RTX 3070 Ti | 600ドル | 700ドル | 650ドル | -7% | 505ドル | 710ドル | 619ドル | -13% |
GeForce RTX 3070 | 500ドル | 600ドル | 560ドル | -7% | 499ドル | 641ドル | 544ドル | -15% |
GeForce RTX 3060 Ti | 400ドル | 523ドル | 500ドル | -4% | 425ドル | 579ドル | 470ドル | -19% |
GeForce RTX 3060 | 330ドル | 400ドル | 400ドル | 0% | 339ドル | 424ドル | 379ドル | -11% |
GeForce RTX 3050 | 250ドル | 319ドル | 300ドル | -6% | 285ドル | 315ドル | 296ドル | -6% |
Radeon RX 6950 XT | 1,100ドル | $ 1,070 | $ 1,070 | 0% | 1,200ドル | 1,600ドル | 1,270ドル | -21% |
Radeon RX 6900 XT | 1,000ドル | 880ドル | 850ドル | -3% | 778ドル | 875ドル | 774ドル | -12% |
Radeon RX 6800 XT | 650ドル | 790ドル | 770ドル | -3% | 570ドル | 767ドル | 637ドル | -17% |
Radeon RX 6800 | 580ドル | 700ドル | 700ドル | 0% | 568ドル | 655ドル | 575ドル | -12% |
Radeon RX 6750 XT | 550ドル | 540ドル | 540ドル | 0% | 545ドル | 511ドル | 560ドル | 10% |
Radeon RX 6700 XT | 480ドル | 485ドル | 480ドル | -1% | 400ドル | 477ドル | 410ドル | -14% |
Radeon RX 6650 XT | 400ドル | 385ドル | 380ドル | -1% | 365ドル | 400ドル | 372ドル | -7% |
Radeon RX 6600 XT | 380ドル | 370ドル | 360ドル | -3% | 270ドル | 350ドル | 309ドル | -12% |
Radeon RX 6600 | 330ドル | 300ドル | 290ドル | -3% | 277ドル | 290ドル | 274ドル | -5% |
Radeon RX 6500 XT | 200ドル | 175ドル | 175ドル | 0% | 175ドル | 192ドル | 159ドル | -17% |
Radeon RX 6400 | 160ドル | 160ドル | 160ドル | 0% | 192ドル | 151ドル | 170ドル | 13% |
平均 | -2% | -10% | ||||||
表を見ると、NVIDIAとその上位ミッドレンジグラフィックスカードの価格は、まだ低下が比較的緩やかではある。ただ、中古市場での下落はかなり大きい。
グラフィックスカードの価格は、過去2週間で2%下がっている。急激な落ち込みは、AMDの新しいRadeon RX 6000シリーズGPUが、同社が設定した希望小売価格が安価であったことが原因であると推測される。
また、マイナーが使用済みGPUを希望小売価格をはるかに下回る価格で販売しており、過去2週間でeBayで10%も下がっている。中にはユーザーは、RTX 3080カードが6枚セットで2,500ドルなんてものもあり、RTX 3080が1枚あたり500ドル未満と言う破格の値段で取引されている物もあるようだ。
ただし、この下落が異常な状態なのではなく、むしろ正常な状態に戻りつつあるという事を忘れてはならないだろう。GPUメーカーによる利益追求と暗号通貨のマイニングが相まって、予想以上に長くグラフィックスカードが異常な高値を維持していた2年間は、まさにゲーマーにとっては地獄のような日々だったが、それももう終わりに近付いている。
この 1 年間、TSMC のコスト上昇に関する発表が繰り返されてきたことを考えると、AMD、Intel、NVIDIA は、GPU の利益率を大幅に切り下げることを余儀なくされることになるかもしれない。とはいえ、この 2 年間でガッポリ儲けたと思われるので、しばらくは困らないだろう。
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