AppleのM2チップの最初のCPUとGPUベンチマークがGeekbenchに登場した。CPUスコアではシングルコアとマルチコアワークロードの両方でM1に比べて控えめな性能向上が見られるが、GPUスコアでの大きな飛躍が印象的な結果となっている。
Geekbench : Mac 14 7 CPUスコア、Mac 14.7 GPUスコア via Benchleaks
Apple M2シリーズを搭載したマシンの発売は7月の予定だが、既にApple M2ベースのシステムを使用した誰かが、Geekbench 5データベースにCPUベンチマークを投稿したようだ。Geekbench 5ベンチマークは、様々なアプリケーションにおける実際のパフォーマンスを反映してはいないが、少なくとも整数および浮動小数点数に関するベンチマーク結果は、他のシステムとの比較のための指標として用いることが出来、実際の性能を想定するのに役立ってくれる。
Apple M2チップと競合チップとの比較
Apple M2 | Apple M1 | Apple M1 Pro 8コア | Core i7-12800H | Core i7-11800H | Ryzen 7 5800H | |
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スペック | 4P, 4E 最大3.49 GHz | 4P, 4E 最大3.20 GHz | 6P, 2E 最大3.22 GHz | 6P, 8E 最大4.80 GHz | 8P 2.30 ~ 最大4.60 GHz | 16P 3.20 ~ 最大4.40 GHz |
シングルコア整数 | 1759 | 1597 | 1616 | 1563 | 1331 | 1247 |
シングルコア浮動小数点数 | 2083 | 1896 | 1896 | 1885 | 1556 | 1617 |
シングルコア暗号 | 3021 | 2783 | 2812 | 3703 | 3784 | 3546 |
シングルコアスコア | 1919 | 1746 | 1760 | 1767 | 1521 | 1473 |
マルチコア整数 | 8196 | 7013 | 8592 | 11305 | 8231 | 8081 |
マルチコア浮動小数点数 | 9840 | 8624 | 10460 | 12064 | 8873 | 9239 |
マルチコア暗号 | 12964 | 10137 | 17028 | 8453 | 6272 | 5075 |
マルチコアスコア | 8928 | 7653 | 9574 | 11390 | 8326 | 8305 |
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AppleのM2は、Appleのスマートフォン向けSoCであるA15と同様のCPUとGPUのアーキテクチャを搭載している。M2はより性能に最適化されたN5P製造技術を利用しており、高性能なAvalancheコアを最大3.49GHzで動作させることができ、前モデルに比べて10%のパフォーマンス向上が得られている。Appleの高性能Avalancheコアとエネルギー効率の高いBlizzardコアは、M1世代のSoCに使用された前世代のFirestormコアとIcestormコアよりも高速となっているが、IPCの向上は主にクロックの向上、キャッシュの増大、メモリサブシステムの改善による所が大きいと思われる。
一般に、AppleのM2はシングルスレッドワークロードでは前世代に比べて性能の向上が緩やかだ。しかし、Appleの新しいAvalancheコアは、IntelのGolden Coveコア(Alder Lake CPUに採用)よりもシングルスレッドワークロードでは全体的に高速になっている。
マルチスレッド性能に関しては、M2はM1に比べて最大で16%も性能が向上している。これは、A15 Blizzard e-core が Avalance p-core よりも大幅に改善されていることもあるが、クロックの向上、キャッシュアルゴリズムの強化、メモリサブシステムの改善などが要因となっているようだ。その結果、M2はマルチスレッドワークロードにおいて、AppleのM1 Pro SoCにスコアが迫っている。一方、Intelの第12世代Core「Alder Lake」プロセッサは、AppleのM2(8コア)よりもコア数が多い(14コア)ため、GB5のマルチスレッドワークロードでは大幅にスコアが伸びている事が分かるだろう。
Apple M2 10C GPU | Apple M1 8C GPU | Apple M1 Pro 8C CPU/14C GPU | Intel Core i7-12800H 96EU | |
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Metal スコア | 30627 | 18284 | 39949 | 19287 |
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GPUでの性能向上は目を見張る物がある。上の比較では、M1比で67%という素晴らしい向上が見られた。これは、AppleがM2において、M1からGPUクラスタの数を増やしたことが大きな要因だろう。また、A15とM2に新しいGPUアーキテクチャを採用しており、この組み合わせにより、少なくともGeekbench 5で得られた結果に基づくと、チップにかなり劇的な性能向上がもたらされている事が分かる。これが実際のシステムでどのように働くのかは不明だが、ここではM2の新しいメモリサブシステムが有利に働くだろう。
このテスト結果は正式な発売前の物であるため、その点を留意してみる必要があるが、一般的には、M2がシングルスレッド性能を大幅に向上させることはなさそうだ。その代わり、マルチスレッドCPUワークロードの性能向上に注力し、GPU処理されるタスクにはさらに大きなブーストをもたらす事が期待できそうだ。
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