AMDのRadeon RX7000シリーズグラフィックスカードに搭載される、次世代MCM(Multi-Chip-Module)RDNA3 GPUについて、YouTuberで有名リーカーのMoore’s Law is Deadによって、リリース日についての新たな情報がもたらされた。
Moore’s Law is Dead(MLID) : AMD Navi 31 & MI300 Leak: 3D Stacking the Deck against Lovelace & Hopper
- Radeon RX 7900は2022年末までに発売の可能性
- エントリー向けのNavi 33 GPUが最初に登場か
- Navi 32 GPU搭載のRX 7800は2023年初頭に発売の予定
2022年第4四半期にNavi31が、2023年上半期にNavi32がリリース予定
MLIDの動画は、内容的にはこれまで出ている情報のおさらいが主であったが、一部新たな情報として、リリーススケジュールが明らかになった。
AMD Navi31とNavi32GPUはどちらもMCMソリューションを利用すると言われている。ただし、Navi 31 GPUは3Dスタッキングを利用し、Navi 32 GPUは、AMDのInstinct MI250Xと同様に標準のマルチダイ方式を採用する可能性が考えられるという。Navi 31は、IOダイの上にGPUを融合する3Dスタッキングテクノロジーを搭載するInstinct MI300 GPUと同様の設計になる可能性があるとのことだ。Infinity Cacheが別のダイに搭載されるという噂もあり、今回それが採用されるのかも知れない。Navi 32は、MI200シリーズと同じデザインアプローチを採用するようだ。Navi31とNavi32の両方のGPUは、6nm IO(MCD)と5nm GPU(GCD)のチップレットで構成される。
発売スケジュールについて、AMD Navi31 GPUが2022年第4四半期末までに主力製品のRadeonRX7900シリーズとして登場するという。ただ、その前に6nmモノリシックダイをベースにしたNavi33 GPUがデビューする可能性があるとの事だ。ちなみに、Navi 33グラフィックカードは、既存のNavi 21を置き換える目的で開発されており、最終的に400ドルから500ドル(米国売価)になるとの話が出ている。そして、Radeon RX7800シリーズ用のNavi32GPUは、2023年前半に発売されるという。
RadeonRX7900シリーズ用AMD RDNA3 Navi31 GPU
AMD Navi31については、合計7つのチップレットで構成されるとの噂もあった。したがって、2つのGCDがIODの上に配置され、MCDはGCDまたはIODの上に配置される物と見られている。これは、今までに見られなかったGPU構成のひとつであり、ゲーミンググラフィックスコンシューマーセグメントにおけるチップレット時代の幕開けになる物だろう。
フラッグシップRDNA3チップであるAMD Navi31 GPUは、Radeon RX7900XTグラフィックスカードなどの次世代のハイエンドグラフィックスカードに搭載される。AMDは次世代のRDNA3 GPUでWGP(Work Group Processors)を優先し、CU(Compute Units)を廃止すると言われている。
ここに示すNavi31 GPU構成図には、2つのGCD(Graphics Core Die)と1つのMCD(Multi-Cache Die)を搭載している事が示されている。各GCDは3基のシェーダーエンジン(合計6基)を持ち、各シェーダーエンジンは2基のシェ-ダーアレイ(SEあたり2基/GCDあたり6基/合計12基)を持つ。各シェ-ダーアレイは5つのWGP(SEあたり10個/GCDあたり30個/合計60個)で構成され、各WGPには32個のALUを持つSIMD32ユニット(SAあたり40個/SEあたり80個/GCDあたり240個/合計480個)を8個搭載する。これらのSIMD32ユニットを組み合わせ、1GCDあたり7,680コア、合計15,360コアを構成している。
Navi 31(RDNA 3)のMCDは、次世代インターコネクト「Infinity Fabric」でデュアルGCDにリンクされ、256~512MBのInfinity Cacheを搭載する予定だ。また、各GPUは、4本のメモリコネクトリンク(32-bit)を搭載すると思われる。つまり、256-bitのバスインターフェイスに対して、合計8個の32-bitメモリコントローラを搭載することになる。
RadeonRX7800シリーズ用AMDRDNA3 Navi 32 GPU
AMD Navi 32 GPUは、RDNA3ラインナップに搭載されている2つのMCMGPUの1つとなる。GPUは、2つのGCD(Graphics Compute Dies)と1つのMCD(Multi-Cache Die)を備えており、ダイはフラッグシップのNavi31 GPUと非常に似た構造になっているが、各ダイ全体でシェーダーエンジンが1つ少なくなっている事が見て取れるだろう。AMD Navi 32のGCDはTSMCの5nmプロセスノードを利用すると言われているが、MCDは6nmプロセスノードで製造されるようだ。また、噂によると、AMDは6nmダイでのMCD製造に、SamsungとTSMCのどちらかを選ぶ事になるだろう。
各GCDには2つのシェーダーエンジン(合計4つ)があり、各シェーダーエンジンには2つのシェーダーアレイ(SEごとに2つ/ GCDごとに4つ/合計8つ)がある。各シェーダーアレイは5つのWGP(SEあたり10 / GCDあたり20/合計40)で構成され、各WGPは32のALUを備えた8つのSIMD32ユニット(SAあたり40 SIMD32/SEあたり80/GCDあたり160/合計320)を備えている。これらのSIMD32ユニットを組み合わせると、GCDあたり5120コア、合計で10,240コアになる。
Navi 32(RDNA 3)MCDは、次世代のInfinity Fabric相互接続を介してデュアルGCDにリンクされ、384MBのInfinityキャッシュを備えています。各GPUは、3つのメモリ接続リンク(32ビット)も備えている必要がある。これは、192ビットバスインターフェイス用の合計6つの32ビットメモリコントローラーとなっている。
これにより、AMD Radeon RX7700シリーズのパフォーマンスがRX6800およびRX6900シリーズを上回り、ゲームのグラフィックスパワーが大幅に向上する。RX 6700 XTの定格は現在230Wであるため、これによって消費電力量も増加し、最大で270〜300Wになる可能性があるという。
RDNA3 GPUは、ラスタライズのパフォーマンスと電力効率の点でNVIDIAが提供するものよりも優れているという噂がいくつかあり、AMDは、RadeonRXグラフィックスカードのラインナップで最初のMCM搭載GPUを提供することで、市場の主導権を握るつもりのようだ。
AMD RDNA3 Navi 3X GPU一覧(暫定版)
GPU名 | Navi 21 | Navi 33 | Navi 32 | Navi 31 |
---|---|---|---|---|
GPUプロセス | 7nm | 6nm | 5nm / 6nm | 5nm / 6nm |
GPUパッケージ | モノリシック | モノリシック | マルチチップレット | マルチチップレット |
シェーダーエンジン | 4 | 2 | 4(GCDあたり2) | 6(GCDあたり3) |
WGP(Work Group Processor) | 40 | 20 | 40(GCDあたり20) | 60(GCDあたり30) |
WGPあたりのSP | 128 | 256 | 256 | 256 |
計算単位(ダイごと) | 80 | 40 | 80 160(合計) | 120 240(合計) |
コア(ダイごと) | 5120 | 5120 | 5120 | 7689 |
コア(合計) | 5120 | 5120 | 10240 | 15360 |
メモリバス | 256bit | 128bit | 192bit | 256bit |
メモリタイプ | GDDR6 | GDDR6 | GDDR6 | GDDR6 |
インフィニティキャッシュ | 128 MB | 128〜256 MB | 384 MB | 512 MB |
フラッグシップSKU | Radeon RX 6900 XTX | Radeon RX 7700 XT? | Radeon RX 7800 XT? | Radeon RX 7900 XT? |
TBP | 330W | 〜200W | 〜300W | 〜400W |
発売 | 2020年第4四半期 | 2022年第4四半期? | 2022年第4四半期? | 2022年第4四半期? |
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