中国メディアのGlobal Timesによると、CRRC(中国中車)と成都軌道交通の合弁により、水素を動力源とする都市鉄道が製造されたとのことだ。4両編成のこの列車は時速160kmの速度で世界最速となり、航続距離は600kmを誇るという。
ちなみに、この分野ではドイツが先行しており、昨年時点ですでにAlstomの水素燃料列車が14台ほど運行されている。時速はCRRCの方が20kmほど速いが、航続距離は約1,000kmとドイツの方がはるかに長い。
今回、CRRCは、都市部での運用に向けて専用に開発されたのはこれが初めてと述べている。
同メディアの報道によると、この列車は2023年1月18日(水)に中国南西部の四川省成都の組立ラインからロールオフしたとのことだ。
この列車は中国の新幹線「復興号」と同じコア技術を使用している。復興号は中国国家鉄路集団有限公司が運営する高速新幹線である。
復興号は2017年に運行を開始し、最高時速約350kmに達し、世界最速の列車のひとつとされている。中国の高速鉄道網を走るために作られ、北京-上海線や北京-広州線など、いくつかの重要な路線で使用されている。空力に優れ、エネルギー消費量が少なく、Wi-Fiや電源コンセントなど乗客のアメニティも充実している最先端の鉄道だ。
水素は、従来の化石燃料の燃焼に伴う二酸化炭素や二酸化硫黄などの有害な汚染物質や温室効果ガスを発生させず、後には水蒸気しか発生しないため、クリーンなエネルギー源とされている。
さらに、水素は風力、太陽光、水力などの再生可能資源を含むさまざまなエネルギー源から製造できるため、クリーンエネルギーとしての可能性をさらに高めている。
新たな水素都市鉄道では、従来の電源の代わりに、水素燃料電池とスーパーキャパシターが搭載された。中国メディアによると、水素燃料電池は、水素と酸素の電気化学反応によってエネルギーを生み出し、反応の副産物は水だけで、窒素や硫黄の副産物は発生しない。また、反応過程も静かで安定しているとしている。
専門家は、時速160kmで走る水素都市鉄道が、1日に500kmを往復できると指摘している。これによって、年間1万キロ以上の二酸化炭素の排出を削減することができるというのだ。
また、カテナリー(2点から自由にぶら下がるワイヤー、ロープ、チェーンで形成される曲線)の働きによる制約がなくなるので、都市型車両はもっといろいろなことに使えるようになる。これは、電化移行プロジェクトにつきものの、インフラやメンテナンスコストへの多大な投資なしに実現できるのだ。
中国は、水素エネルギー分野の成長を促す大胆な目標を掲げているという。国家発展改革委員会と国家エネルギー局(NEA)が今年3月に発表した計画によると、2025年までに約5万台の水素燃料電池車を走らせ、毎年10万〜20万トンの水素を再生可能エネルギーから生産するとしている。
ただ、NEAのデータによると、2022年6月末までに、中国には約270基の水素充填ステーションがあり、電気自動車の充電ステーションの巨大ネットワークと比較すると、まだまだ比較的小さなネットワークではあるようだ。
ただ、リチウム資源の逼迫により価格が高騰し、電気自動車革命が勢いを失いつつある中、水素の代替を早期に推進することは賢明なことかも知れない。
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