Googleは12月に公開したFeature Dropにおいて、最新のフラッグシップPixelスマートフォン「Pixel 8 Pro」向けに、「動画ブースト」機能の提供を開始した。この機能は少しずつPixel 8 Proユーザー向けに提供が開始されているが、これまでのスマートフォンにはなかった動画機能だ。では、具体的にはどのような物なのだろうか?
これまでのPixelスマートフォンでは、高画質の動画を撮影するために、搭載されたTensorチップによる高度な処理が行われていたが、新たな「動画ブースト」機能がこれと大きく異なる点は、Tensorチップを使用するのではなく、ビデオクリップをGoogleのクラウドサーバーにエクスポートし、モバイルチップでは手間のかかる補正処理の多くを行うという物だ。動画ブーストでは、ビデオクリップをフレームごとにクロールし、色、手ぶれ補正、粒状感、照明を調整する。これはとても時間のかかる作業だ。
そのため、動画を撮影後にすぐに共有したいと言う場合も考え、Pixel 8 Proは基本的に2つのバージョンのビデオを録画する。1つはすぐに共有でき、もう1つは処理のためにクラウドにアップロードされる。最初のクリップには基本的なレタッチが施されるが、Googleの高度なAIモデルで処理される大きなファイルは、Wi-Fiに接続されクラウドにアップロードされた後は削除される。
完了すると、ブーストされたクリップがGoogleフォトライブラリに表示され、クリップが届いたことを知らせる通知が表示される。そこから、ライブラリ内の他のアイテムと同じようにビデオを共有することが出来る。また、処理にはGoogleフォトを利用する必要があるため、動画ブーストを使用するにはGoogleアカウントが必要となり、Googleフォトによるコンテンツのバックアップも許可する必要がある。
動画ブースト機能のもう1つの特徴は、「ビデオ夜景モード」が利用可能になることだ。これは夜景撮影などの低照度ビデオ用に機能する。より具体的には、ビデオ夜景モードはクリップのノイズリダクションが中心で、コンサートや夜間の散歩などのシチュエーションで役立つだろう。ビデオ夜景モードはPixel 8 Pro専用の機能だ。少し、ややこしいが、Pixel 8とPixel 8 Proの両方でタイムラプスの夜景モードをサポートするようになっている。いずれにせよ、今回のアップグレードは、GoogleのPixelを今後長く最高のカメラ付きスマートフォンとして維持するのに十分なものだろう。実際の威力は以下のスクリーンショット比較をご覧頂ければお分かりのように、iPhone 15 Pro Maxとの比較でもかなり印象的な差が見られるだろう。
前述の通り、動画ブーストはGoogle Pixel 8 Proだけの機能だ。これにはいくつかの理由があるが、主に処理の激しさに起因する。動画ブーストのファイルはとても大きいため、処理に時間がかかり、Googleのサーバー負荷が増加する。Googleは、プロセスを効率化すれば、動画ブーストを他のデバイスにも開放するかもしれないが、今のところ、最高級のフラッグシップ機だけにとどまっている。
また、この機能は段階的な展開になるため、利用可能になるまでに少し時間がかかるかもしれない。動画ブーストを受け取ったかどうかわからない場合は、カメラアプリを開いてビデオモードに切り替え、設定をチェックすればすぐに確認できる。動画ブーストは、機能が有効になった後に初めてビデオを録画する際にも、この機能を有効にするよう促すメッセージがポップアップ表示されるようだ。
Pixel 8 Proで動画ブーストを使用する方法
Pixel 8 Proで動画ブーストを使う方法は、これ以上ないほどシンプルだ。Googleの高度なビデオ処理を試す準備ができたら、以下の手順に従って進めよう:
- Pixel 8 Proのカメラアプリを開く。
- 写真モードからビデオモードに切り替える。
- 動画ブーストのプロンプトが表示されない場合は、左下歯車アイコン「設定」を開く。
- 「動画ブースト」トグルをタップする。
- クリップの開始と停止の準備ができたら、録画を押す。
Pixel 8 Proで動画ブーストを使用するのは以上で完了だ。動画の処理が完了したかどうか等は以下の手順で確認出来る。
- カメラロールを開く。
- 動画ブーストアイコンが付いたクリップのプレビューをタップする。
動画ブーストの処理は時間がかかる。筆者は大体半日くらい経った頃に処理が終わったことが確認出来た。今のところは気長に待つことが必要だろう。ただし、処理後の画質は確かに素晴らしい物だった。是非Pixel 8 Proユーザーなら試してもらいたい機能だ。
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