ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が、氷の巨人・天王星の素晴らしい画像を新たに撮影した。この画像は、JWSTの赤外線カメラで撮影されたもので、天王星の輪がこれまでにないほど鮮明に写し出されている。
環の形は、淡くうっすらとしたものではなく、鮮やかに浮かび上がっている。さらに、惑星の大気には明るく光る特徴があり、この惑星の北極にある大規模な嵐系が大きくなっている様子が分かる。
天王星の27個の衛星のうち、6個の大きな衛星も写っている。そして、JWSTの画像で見慣れてきたように、遠くの背景銀河がいくつか写っている。そう、JWSTの画像はすべてディープフィールドなのだ!
これは、JWSTが天王星を初めて詳細に撮影したもので、天文台がこれまでにない感度を持つことを示すものだ。天王星のかすかなダストリングは、1986年にボイジャー2号が撮影したものと、2007年にケック天文台が高度な補償光学装置を用いて撮影したものしかない。土星の環は水の氷でできていてとても明るいのだが、天王星の環は比較的暗く、この新しい赤外線画像では明るく映っている。天王星のリングは、塵ではなく、0.2〜20メートルほどの大きな塊でできているようだ。
天王星には13のリングがあり、そのうちの11がここで確認出来る。NASAによると、この新しい画像では、これらのリングのいくつかは非常に明るく、より大きなリングに合体しているように見えるという。9つは天王星の主要な環で、2つはボイジャー2号が訪れるまで発見されなかった、より暗い塵のような環(天王星に最も近い拡散したゼータ環など)である。科学者たちは、将来のウェッブによる天王星の画像から、2007年の環状面横断の際にハッブルによって発見された2つのかすかな外輪が明らかになると期待している。
天王星は北半球で夏のピークを迎えるため、大きな明るい嵐はゆっくりと成長している。もちろん、天王星は横に傾いているため、太陽系の他の惑星では赤道がある場所に北極があることがある。
天王星は太陽の周りを84年かけて回っており、現在、北極は晩春だ。北半球の夏が来るのは2028年とのことだ。1986年のボイジャー2号によるフライバイでは、天王星の大気は澄んでいて、ほとんど特徴がないように見えたことを思い出して欲しい。そのとき、南極は夏だったのだ。南極は現在、惑星の「ダークサイド」にあり、視界から外れて宇宙の暗闇に面している。
宇宙望遠鏡科学研究所によると、JWSTの近赤外線カメラ(NIRCam)の赤外線画像は、1.4ミクロンと3.0ミクロンの2つのフィルタのデータを組み合わせたもので、それぞれ青とオレンジで表示されています。その結果、代表的な色彩の画像では、惑星が青く表示されている。
また、ボイジャー2号が見た天王星の輪と、JWSTが見た現在の輪を比べてみて欲しい:
リングを研究することで、天王星の内部を知ることができるなど、天王星についての理解を深めることができると科学者たちは述べている。
Source
- NASA: NASA’s Webb Scores Another Ringed World With New Image of Uranus
- Webb Space Telescope: NASA’s Webb Scores Another Ringed World with New Image of Uranus
この記事は、NANCY ATKINSON氏によって執筆され、Universe Todayに掲載されたものを、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示4.0 国際)に則り、翻訳・転載したものです。元記事はこちらからお読み頂けます。
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