国連総会は世界各国に安全なAIの開発を促す初の世界的決議案を全会一致で採択した。この決議の目的は、個人情報の保護を促進し、プライバシーポリシーを強化し、AIに潜在的なリスクがないか綿密に監視し、人権を擁護することである。米国が提案し、中国をはじめとする121カ国が賛同した。ただし、これは法的な拘束力を伴わない物である。
この決議は、3ヶ月にわたる交渉の結果生まれたもので、関係者は国際協力のレベルに満足しているようだ。ある米政権高官はReutersに、この”AIに関する史上初の真にグローバルなコンセンサス文書”の意義を強調した。
「コンセンサスとは、全加盟国が一つの文書に同意することであるが、文書草案のすべての要素に同意することを意味するわけではない」と国連がオンライン上のFAQに書いているように、コンセンサスによる採択とは、すべての加盟国が投票なしで決議案を採択することに同意することを意味する。投票なしで決議案を採択することに合意しても、文章のある部分については保留とすることもできる。
このイニシアチブは、ChatGPTとGPT-4の立ち上げに続き、AI開発の軌道に影響を与えようとする世界各国政府による一連の取り組みに加わるものである。批評家たちは、AIが民主主義のプロセスを弱体化させたり、不正行為を増幅させたり、雇用の大幅な減少につながったりするのではないかと懸念している。この決議案は、AIシステムの無責任な、あるいは悪意ある応用に伴う危険性に対処しようとするもので、国連は人権と基本的自由を危険にさらす可能性があるとしている。
Reutersによれば、ロシアや中国といった国々からの抵抗は予想されていたことであり、アメリカ政府高官は交渉の過程で「白熱した会話が交わされた」ことを認めた。しかし、これらの国々や、さまざまな問題で米国と対立する国々との関与が成功し、開発の促進と人権の保護との微妙なバランスを保とうとする決議案に合意したことも強調した。
この新しい国連協定は、すべての国連加盟国が参加するという意味では、初の「グローバル」な協定かもしれないが、複数国家による国際的なAI協定としては初めてではない。これについては、昨年11月英国初のAIサミットに出席した28カ国が署名したブレッチリー宣言が世界初のグローバルな協定と言えるだろう。
また11月には、米国、英国、その他の国々が、不正行為者による悪用から守るために「安全な設計」によるAIシステムの構築に焦点を当てた協定を発表した。欧州はAIを規制するための暫定的な合意を徐々に進めており、世界初の包括的なAI規制の実施に近づいている。一方、米国政府はAI規制に関する立法措置についてまだコンセンサスを欠いており、Biden政権は国家安全保障を強化しつつAIのリスクを軽減する措置を提唱している。
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