太陽はグリニッジ標準時3月23日午前1時45分(日本時間23日午前10時45分)に強力で非常に珍しい「ダブル」Xクラスの太陽フレアを発生させ、コロナ質量放出(CME)として知られる超高温プラズマを地球に向けて放った。この爆発的な現象は、太陽が太陽活動極大期として知られる約11年周期の激しいピークに達した可能性が高いことを示すもうひとつの明確な兆候である。
米海洋大気庁(NOAA)と米国立気象局が共同で運営する宇宙天気予報センターによると、ピーク時の地磁気嵐は厳しい(G4)状態に達した。これは2017年以来最強の太陽嵐であり、3月24日(日)午後2時37分(日本時間24日午後11時37分)に地球を直撃した。
磁気嵐は、CMEの形で太陽大気圏からプラズマと磁場が大量に放出されることによって引き起こされる地球の磁場の乱れである。米国海洋大気庁(NOAA)は、地磁気嵐をG1からG5までランク付けしており、G1では極地付近でオーロラ活動が活発化し、電力供給がわずかに変動する程度である。この最も極端なレベルは、地球の日照側全域でHF(高周波)電波の完全停電を引き起こし、数時間続くことがある。
今回のG4レベルの磁気嵐は、航空、海上、軍事通信で使用される高周波無線信号に何らかの混乱を引き起こすかもしれないが、ほとんどの低周波無線信号には影響はないだろう。送電網が停電する「わずかなリスク」はあるが、混乱はかなり短期的なものになると予想される。
この影響により、アラスカやカナダの多くの地域、スコットランドやイングランド北部の多くの地域でオーロラが見られたようだ。
オーロラは、太陽風による帯電した高エネルギー粒子が、地球の磁場中のガス分子と衝突し、カラフルな光の渦を発生させたものである。
太陽の上層大気は常に太陽風を放出している。フレアは、これらの荷電粒子が太陽の強烈な磁場によって溜め込まれた後、突然エネルギーが爆発して放出されたときに起こる。太陽は地球から1億4,900万キロれているにもかかわらず、この爆発は常に地球に影響を与える可能性があるのだ。
最も強力な太陽フレアとして知られているのは、1859年に発生した太陽嵐(Carrington Event)である。ハワイやカリブ海沿岸等世界中でオーロラが観測され、ロッキー山脈では明るさのために鉱山夫が朝と勘違いして起きて朝食の支度を始めてしまうほどであったという。電磁場に大きな混乱が生じ、世界各地で電信システムがクラッシュした。いくつかの電信局は炎上したほどだ。
衛星通信と電気系統が発達した現代において、この規模の太陽嵐は壊滅的な被害をもたらすだろう。人類文明に甚大な被害を及ぼし、完全復旧には10年はかかると試算されている。
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