ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope、略称:JWST)の最初の撮影画像の一般公開まであと5日となった。20年以上の歳月と100億ドルの資金を費やしてきた宇宙の観測所は、その巨大な主鏡と赤外線に焦点を当てた機器のおかげで、これまでのどんな望遠鏡も見ることができなかった場所を見ることが出来るということで、期待が高まっている。
JWSTが「荒削りな」テスト写真を公開
最初の完全な撮影画像は、7月12日(現地時間)に公開される予定だが、それに先立ち、NASAは7月6日にエンジニアリングテスト写真を公開した。これは32時間かけて72回露光した結果で、遠くの星や銀河が写っている。「テスト」画像ではあるが、今後公開される科学画像とデータが素晴らしいものになることを示唆している。
NASA は声明の中で、この画像は「荒削り」であるが、それでも「これまでに撮影された宇宙の最も深い画像の一つ」であるとのことで、これだけで今後数週間、数ヶ月、数年で明らかになるであろうことを考えると、大いに期待を抱かずにはいられないだろう。
NASAは5月下旬、望遠鏡のファインガイダンスセンサー(FGS)の能力を実証する目的で、1週間にわたる安定性試験を行い、この画像を収集した。このセンサーは、JWSTが天体の目標を見つけ、ロックするのを助けるもので、カナダ宇宙庁が製作したものだ。
NASAはニュースリリースで、「エンジニアリングテストの結果、画像は荒削りなものになりました。このデータは、科学観測として最適化されたものではなく、望遠鏡がターゲットにどれだけ固定されるかをテストするために撮影されたものですが、この望遠鏡の威力を示すヒントになっています。このデータには、JWSTが打ち上げ後の準備期間中に撮影した画像に共通する特徴がいくつかあります。明るい星は、ウェッブの6面鏡セグメントによる効果で、6つの長くはっきりとした回折スパイクで際立っています。星々の向こうには、銀河がほぼ背景一面に広がっています。」と報告している。
この画像に写っているほとんどの天体は星ではなく、遠くの銀河だ。これらの銀河は、天文学者が熱心に研究している種類のもので、初期宇宙に関する情報を明らかにするものである。この画像は、あくまで技術的な検証を目的としているため、天文学者が画像中の銀河の年齢を評価するためのカラーフィルターは使用していないが、遠方銀河の詳細な構造を示すことができるだろう。
JWSTの赤外線分解能は、138億年前に起こったビッグバンまでさかのぼって見ることを可能にするという。
宇宙が膨張しているため、初期の星からの光は、紫外線や可視光線から、より長い赤外線の波長へと変化していくが、JWSTはそれを前例のない分解能で検出することができる。
現在、宇宙論的に最も古い観測は、ビッグバンから3億3千万年以内のものだが、この望遠鏡の能力をもってすれば、この記録を簡単に破ることができると天文学者は信じている。
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