米・電気自動車大手のテスラ(Tesla Motors)は、自動車が周囲の物体を感知するためにこれまで使用していた超音波センサー(USS)を段階的に排除していくと発表した。これは、カメラのみの運転支援技術「テスラビジョン」へのシフトの一環で、LIDAR、レーダー、カメラの組み合わせに依存する他の業界とは対照的なものとなっている。Electrekによると、テスラの車に搭載されている超音波センサーは、主に駐車や衝突警告に役立つ短距離検知に使用されているとのことだ。
テスラの通知には、北米、欧州、中東、台湾で販売されるモデル3およびモデルYの新車から今月中にセンサーが消え、その後世界的に拡大すると書かれている。また、来年にはModel SとModel Xへの搭載を中止する予定とのことだ。
テスラは、超音波センサーからの移行が車の衝突安全性評価に影響を与えることはないとしている。しかし、センサーなしで出荷される車は、パークアシスト、オートパーク、Summon、Smart Summonなどの一部の機能を「一時的に」利用できなくなる。同社は、カメラベースのシステムで同等の性能を発揮できるようになれば、これらの機能を復活させる意向だ。
超音波センサーからの移行は、昨年テスラが発表したレーダー搭載車の出荷を終了するという同様の発表に続くものだ。今後、同社は運転支援機能をカメラベースのテスラビジョンシステムにのみ依存することになります。昨年、The New York Timesは、テスラのイーロン・マスクCEOが 「オートパイロットチームのメンバーに、『人間は2つの目だけで運転できるのだから、自動車もカメラだけで運転できるはずだ』と繰り返し言っていた」と報じている。
その超音波センサーの撤去と同様に、昨年のレーダーの撤去によって、スマートサムのような一握りの機能に一時的な制限が設けられた。その後、数ヶ月の間にこれらの制限は緩和され、テスラは現在、これらの車は「米国と欧州におけるアクティブセーフティ評価を維持または改善している」「歩行者用自動緊急ブレーキなどの安全機能は、実際にはレーダーよりもカメラの方が優れている」としている。
しかし、昨年のレーダーからのシフトは、全く問題がなかったわけではなく、車の運転支援システムが、車が何かに衝突しそうだと勘違いしてブレーキをかける「ファントム・ブレーキ」の報告が増えたのも、同時期である事から関係がないとは言い切れないだろう。実際、The Washington Post紙は、テスラがレーダーセンサー搭載車の出荷を停止した時期と重なり、自動ブレーキの問題について国家道路交通安全局への苦情が急増していることを報じた。
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