相次ぐテック企業のレイオフが伝えられているが、これは振り返って見れば当然の結果だったのかも知れない。The Wall Street Journalは、パンデミック時に雇い入れられたテック企業の従業員達は、入社後ほとんど仕事がないにもかかわらず高給をもらっていたと報じている。GoogleやMetaなどの大手テック企業がそんな彼らを雇っていた理由は、“ライバルに雇われないように”だという。
実際、大手テック企業の元社員の多くが、高い給料をもらっているにもかかわらず、仕事でやることがほとんどなかったと認めている。そんな過小労働・過大給与の元技術系社員の1人が、Microsoftを退職し、2021年秋にFacebookの親会社Metaに採用担当者として入社した33歳のMadelyn Machado氏だ。
TikTokビデオの中で、Machado氏は、19万ドルの年俸で雇われたが、会社での滞在中、基本的に何もすることがなかったと述べている。「私はこれらの企業の多くは、仕事があることを望んでいたと思うが、十分ではなかった 」。WSJの取材に応じたMachado氏は、ほとんどの日で、正午から午後3時半までオンライン会議に出席し、その後はログオフするのが仕事だったという。
不思議なことに、Machado氏はMetaの採用担当者から、入社1年目は誰も雇わないと言われたそうだ。また、同僚の何人かは、この会社で2年間、一度も人を雇ったことがないと言ったという。残念ながら、彼女はMetaで6ヶ月間働いただけで、TikTokの動画を投稿したことが利益相反にあたるとされ、解雇された。
同様の話を語った別の元Meta社員Britney Levy氏は、2022年4月に入社したものの、11月に解雇される直前に最初で最後の仕事についたとのことだ。それ以来、Amazon、Meta、Microsoft、Twitter、PayPal、Yahoo、Zoom、IBM、Spotifyなど、テック業界全体の企業が大規模なレイオフを発表し、数万人の従業員に影響が及んでいる。
WSJの取材に応じた専門家は、パンデミック時代のブームで企業が過剰雇用を行ったのは、より多くの労働者を必要としたからではなく、ライバル企業から人材をため込むためだったと考えていると述べた。ダートマス大学タック・スクール・オブ・ビジネスのVijay Govindarajan教授によると、採用ラッシュは当初、技術系人材の不足に端を発していたが、やがて競争となり、企業は “需要よりも先に採用する”ことになったという。また、この状況は、2000年代前半に金融業界で起こった、高度成長期に企業が過剰雇用を行い、多くの労働者が十分な仕事を得られない状況に陥ったことと非常に似ていると指摘した。
しかし、最初から十分な仕事がないにもかかわらず、テック企業が新しい人材を採用する正当な理由があると考える人もいるという。アドバイザリー会社Willis Towers Watson PLCのグローバル・テクノロジー・プラクティス責任者であるPatrick Moloney氏によると、AIエンジニアのような労働者は近い将来、高い需要が見込まれるため、たとえ最初の数ヶ月はやることがなかったとしても、企業が積極的に採用することは理にかなっている。しかし、それでも、一日中会議に出席する以外何もすることがないリクルーターを企業が必要とする理由は説明できないだろう。
Source
- The Wall Street Journal: These Tech Workers Say They Were Hired to Do Nothing
- via Futurism: BIG TECH EMPLOYEES SAY THEY WERE PAID A FORTUNE TO DO ESSENTIALLY NOTHING
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