桁違いの富豪達が生まれ、世界の富の半分を8人で所有すると言うほど貧富の差が拡大する中、高級時計の需要も急速に伸びており、スイス時計の輸出が8年ぶりの最高値を記録したとのことだ。
Bloombergの報じたところによると、スイス時計産業連盟(FHS)の報告では、7月の輸出は2021年同月比で8.3%増加し、約23億ドルと、2014年10月ぶりの記録的なパフォーマンスを記録したとのことだ。スイスの時計産業にとって最高の輸出額となった。
米国への輸出も前年比で13.5%増えている。米国は2021年に中国を追い抜きスイス製時計の最大の消費国となっており、今年もその地位を維持している。中国は2位だが、前年比18.4%と、これも強い伸びを見せている。翻って日本は前年比-1.4%と、輸出額としては5位ではあるが、その他の国に比べて唯一前年に比べて輸出額が減っている国となっている。円安の影響もあるが、景気後退がいち早く進んでいることが見て取れる。アジア、ヨーロッパのその他の市場が2桁%の伸びを見せていることに、余計に日本の凋落を感じさせられてならない。
8年ぶりの高水準は、富裕層の購買欲の表れだろう。Rolex、Omegaだけでなく、Patek PhilippeやAudemars Piguetなどのいわゆる“雲上ブランド”も、オンラインショッピングのブームにより、パンデミックの間に多くの新しい顧客を獲得している。
FHSによると、高級時計が特に成長の主要な原動力となった。500ドル以上の高級時計は輸出量の3分の1以上、輸出額の95%を占めた。逆に、200ドルから500ドルの腕時計の輸出は、金額で29.2%減少したようだ。この減少傾向は2020年初頭から始まっている。
Bernstein のアナリスト、Luca Solca氏はBloombergに対し、「パンデミック後のハイエンド需要の波が続いている」と語っている。
スイス時計は卸売りが中心で、注文から納品までにタイムラグがあるため、需要の落ち込みはまずショップやブティックで目につくとSolca氏は指摘する。
「もし、需要が落ち込んだとしても、時計の輸出が先に気づくことはないだろう」とSolca氏は付け加えた。
高級時計の需要が供給を上回っているため、多くの時計メーカーがすでにかなりのバックオーダーを抱えているようだ。
欲しくても手に入らないことが更に価格を上げる要因にもなっている。
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