東京都内の中学校で、生徒達が生成AIを用いて課題をこなそうとしたところ、皆が揃って同じ誤回答を提出した事が報じられるなど、教育現場での生成AIの浸透は避けられない流れとなっている。ここで、“生徒による生成AIの利用”に関してに目が向けられるが、今回は“教師による生成AIの利用”に関して、注目すべきサービスが生まれている。
米国では、一部の教育者が、ChatGPTを利用した採点ツール「Writable」を使用し始めている事がAxiosによって報じられている。Writeableによれば、これを用いることで教師の採点時間が節約でき、具体的な改善点を提案するとのことだ。
教師が生徒のエッセイを提出すると、ChatGPTが分析し、コメントや見解を提供する。AIが作成したフィードバックは、生徒に渡される前に教師が確認するため、一連のプロセスの中には必ず人間の手が入ると、Writeableは述べている。
Writeableはまた、AIによるプロンプトの提案も提供し、どんなトピックでもユニークなプロンプトを生成することを約束している。さらに、「あらゆる小説を題材にしたカリキュラム・ユニットを作成し、エッセイ、複数セクションの課題、多肢選択式問題(解答を含む)を生成する」こともできるという。
Writeable社は先月、Mifflin Harcourtに買収された。同社の教育教材は幼稚園から高校までの90%の学校で使用されている。同社のJack Lynch最高経営責任者(CEO)は、「多くの教師がこのプログラムを使っており、非常に興奮している」と述べている。
しかし、重要なフィードバックを機械に委託する事に対してはやはり批判も大きい。まず、生成AIはまだ幻覚を見やすく、最もらしくデタラメを吐き出すため、生徒の論文を採点したりカリキュラムを作成したりする際には良いことではない。Writeableのメーカーは、生徒の情報を「トークン化」することで、個人を特定するような情報がAIプログラムに送信されないようにしているというが、プライバシーへの影響もある。
もうひとつの懸念は、採点の大部分をAIに任せることで、教師が個々の生徒やそのニーズを理解することができなくなることだ。問題を抱えた子供たちが助けを求めるような作文を書いても、ChatGPTがそれを見抜けないケースもあり得る。
しかし、Axiosが報じているように、WritableのようなAI採点ツールは教師の貴重な時間を解放し、より創造的でインパクトのある教育活動に集中させることができると支持者は主張している。裏を返せば、ほとんどの教師は過重労働であるとも言える。
生成AIの流行があらゆる分野に浸透している今、AIを活用した採点ツールがWritableだけでないことは驚きではない。他にも、Crowdmark、Gradescope、EssayGraderなどがある。McGraw Hillは、教師の評価とフィードバックを強化することを目的とした同様のテクノロジーを開発していると報じられている。
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