ソフトウェアエンジニアリングの職業は、かつては高給と職の安定性の象徴であったが、現在は市場の低迷、大量解雇、そして人工知能(AI)の出現により、大きな課題に直面している。これにより職に対する激しい競争と業界全体の不確実性が高まっている。
日本ではあまりそうしたイメージがないが、GoogleやMicrosoftなど、世界を席巻するハイテク大手企業が数多く存在する米国においては、ソフトウェアエンジニアリング職は高給取りの代名詞だった。例えば、Googleのエントリーレベルのポジションでは年間20万ドルに加えて追加の特典が提供され、OpenAIのL5エンジニアは年間90万ドル以上を稼ぐことができた。しかし、これらの高給にもかかわらず、ソフトウェアエンジニアは市場の方向性について懸念を抱いている事が、Motherboardによって伝えられている。
lalayoffs.fyiの報告によると、テック業界では2022年に約16万5000人、翌年には26万2682人が解雇された。既に2024年初旬までに、27の技術会社が既に4541人を解雇しており、その中にはAmazonからの数百人も含まれている。
そして、ChatGPTに代表される生成AIの出現は、こうしたソフトウェアエンジニアに大きな影響を与えている。一部ではプロジェクトの時間短縮に役立つツールとして有益であると見なされているが、職の安定性に与える影響は否定できない。Stability AIのCEOであるEmad Mostaque氏は、2025年までに生成AIの影響でインドのアウトソーシングされたコーディングの仕事の大部分が消滅すると予測している。
そして今回、Blindという匿名のオンラインプラットフォームで認証済み従業員による9,338人のソフトウェアエンジニアを対象に行われた調査によると、90%がパンデミック前と比べて仕事を見つけるのが難しくなっていると考えており、そのうち66%が「はるかに困難だ」と回答している。さらに、参加者の80%が過去1年間で職市場がはるかに競争的になったと感じている。現在のポジションを失った場合、同等の報酬で新しい仕事を見つけることに「非常に自信がある」と回答しているのはソフトウェアエンジニアのたった6%だけであり、32%は全く自信がないと答えている。
厳しい職市場の状況は、失業中のソフトウェアエンジニアの経験からも明らかである。3月に仕事を失ったあるエンジニアは250以上のポジションに応募したが、成功しなかったと、Motherboardに語っている。別のエンジニアは、リクルーターからの仕事のオファーが減少し、大学でコンピューターサイエンスを専攻した決定が「非常に無邪気だった」と反省し、状況を「非常に激しい競争がある」と表現している。
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