先月ついにリリースされたMatterだが、実際に認証を受けた製品の告知はまだ行われていなかった。本日、Connectivity Standards Alliance (CSA) が主催するアムステルダムでの Matter ローンチイベントで、CSA は、190 以上の製品が最初の Matter カテゴリで認証されているか、認証取得に近づいていることを発表した。カテゴリとしては、スマート照明、スマートプラグ、スマートサーモスタット、スマートシェード、スマートセンサー、スマートロックが含まれる。
発表イベントにおいて、約1カ月前にMatter 1.0を発表して以来、新たに20社がCSAに参加しており、その数は日に日に増えていると説明している。また、この間に190の新製品の認証が進行中または終了したとのことだ。開発者の関心も高く、Matterの仕様書は4,000回以上、SDKは2,500回以上ダウンロードされた。
このイベントでCSAは、カメラ、家電製品、エネルギー管理などを筆頭に、新しいデバイスへの対応、機能アップデート、継続的な改善を確実なスケジュールで行うため、2年に1度のペースでリリースするよう努めることを発表した。CSAは、当面は安定性と優れたエクスペリエンスの実現に注力し、すべてをスムーズに実行できるようにしたいと考えている。
CSA は、すでに発表されているカメラ、家電製品、ロボット掃除機、より高度なエネルギー管理カテゴリに加え、次にの4つの新しいデバイスカテゴリを発表した。ガレージドアコントローラーと電子ゲート、環境品質センサーとコントロール(室内空気品質モニターや空気清浄機など)、煙と一酸化炭素検知器、周囲の動きと存在検知器である。
Philips Hueの電球とアクセサリを制御するネットワーク接続デバイスであるPhilips Hue Bridgeも含まれる。Matterのサポートは、今後行われるソフトウェアアップデートによって、ブリッジとこれらすべてのデバイスに提供される予定です。
今日のMatterの発売と前後して、EveやAqaraなど、スマートホーム規格をサポートする最初の製品を発表したブランドがいくつかあり、NanoleafやAmazonからも新製品やアップデートが発表されている。
Matterは、スマートホームへのこれまでのユーザーからの失望が希望に変わる可能性を秘めている。これまでユーザーはスマートホームを実現するためには、1つのプロバイダーに頼らざるを得ず、そのプロバイダーがサポートを打ち切ったり、互換性の問題に直面したりする可能性があるという問題を常に抱えていた。Matterはこれを解決することを目的として開発された。Matterによって、どのプラットフォームでも自由にデバイスをコントロールできるようになる。CSAは、プレゼンテーションの中でこの点を強調し、Matterの認証を受けたデバイスを購入し、数秒でセットアップすることができ、互換性について心配する必要がないことを明らかにした。また、Google Home、Apple Home、Samsung SmartThings、Amazon Alexaの音声など、好きなコントローラーアプリでスマートホームをコントロールできることも強調した。
Matterは、そのオープンな性格でそれを実現したいと考えている。このアライアンスは、Wi-Fiの上にシステムを構築しており、Zigbeeのように特別なハードウェアを必要としない。また、オプションでIPベースの「Thread」メッシュネットワーキング規格とBluetooth Low Energyに依存しているが、後者はデバイスをセットアップするための簡単なオプションとしての意味しかない。この規格はすべてオープンソースで、Githubにも掲載されている。
Matterのメリットは、この相互運用性とオープンな接続性だけではない。Matterは、Wi-FiやThreadなどのローカルネットワークを利用する一方で、完全にオフラインで動作する。つまり、ISPに問題があっても、スマートホームを制御することができるのだ。また、この規格はオープンソースでロイヤリティフリーなので、企業がシステムに参加しやすく、自社製品をスピードアップさせることができる。
大々的に発表されたとはいえ、Matterはまだ初期段階であり、今のところ限られたデバイスとしか連携していない。Matterのコントローラーとアプリを使って、スマートライト、プラグとコンセント、HVACコントロール、シェードなどの窓周り、安全・セキュリティセンサー、ドアロック、テレビなどのメディアデバイスを制御することができる。アライアンスは、Matter 1.0で導入された機能セットと、サポートされるデバイスの種類の両方を拡張するために取り組んでいる。
イベント期間中、多くの企業が Matter をサポートする新製品を発表したり、既存のデバイスやスマートホームハブを新しいプロトコルで動作するように更新することを宣言している。具体例を挙げると以下の通りだ。
- Amazon:今年、Matter over Wi-Fiをサポートし、17台のEchoデバイスとそのプラグ、スイッチ、電球に同規格を導入すると発表した。来年については、Matter over Threadを導入し、より多くのEchoデバイスや他の種類のデバイスにこの規格を追加する予定だ。
- Zigbee:スマートホームハブで主に知られるAqaraは、12月に既存製品でMatterサポートを提供し、2023年に全く新しいThread対応デバイスを発売する予定だ。
- Brillant:スマートホームと照明のBrillant社は、CSAに参加し、2023年に自社製品にMatterサポートを導入することを発表した。同社はさらに、住宅所有者とアパート住人の両方に向けて、Matterの機能向上に取り組みたいと考えている。
- Nanoleaf:このイベントで、Essentialのラインアップとして、Matterに対応した新しいスマート電球と照明器具を4種類発表した。2023年初頭に全世界で発売され、価格は20ドルから100ドルとなっている。
- Philips:Hue Bridgeは、Matterの正式な認証を受けた最初のデバイスの1つだ。ソフトウェアアップデートにより、ブリッジとそれに接続されたすべてのスマートホーム製品が自動的にMatter対応となる。
- Schneider Electric:エネルギー管理会社のSchneider Electricは、将来のデバイスをMatter認定にすると発表した。同社はさらに、Matterと旧来の規格とのギャップを埋める新しいWiserゲートウェイを展示し、Zigbeeやその他のデバイスをMatterホームの一部として追加することを可能にした。
- Silicon Labs:Internet of ThingsのチップメーカーであるSilicon Labsは、2023年に登場する新しいチップ「SiWx917 low energy Wi-Fi 6 SoC」を発表した。また、Matter、Zigbee、Thread、Bluetoothのサポートを1つのパッケージにまとめたSoC、MG24を紹介した。
- Tuya:3つのMatter証明書を完成させたと発表した。また、自社のアプリをMatterに対応させ、自社のアプリで他のMatterデバイスを制御できるようにした。
Mtterの登場により、スマートホームがより一般的になることが期待される。日本の家電メーカーはもちろんのこと、ハウスメーカーなどの参加も期待され、これまでメーカーごとの互換性などを気にしなければならなかった問題が解決されることで、誰にとってもサービスの利用がより簡単になる。標準化された電気プラグのように、どのMatter対応コントローラーでも十分に動作するため、通常の家電製品のように、購入したい機器が自分の家で使えるかどうかを二重三重に確認する必要がなくなるだろう。
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