SK hynixは月、同社初のHBM3Eメモリ・スタックの初期開発を完了し、顧客へのサンプル出荷を開始したと発表した。高帯域幅メモリ技術の更新バージョンは、来年前半に大量出荷が開始される予定で、NVIDIAなどのハードウェアベンダーは、すでにこのメモリをHPCグレードのコンピュート製品に組み込むための準備を進めている。
SK hynixが5月末に初めて明らかにしたHBM3Eは、現行のHBM3よりも高いクロックを実現するよう設計されたHBM3の更新バージョンだが、具体的なクロック速度の目標はメーカーによって異なるようだ。SK hynixの場合、本日の情報開示の一環として、同社はHBM3Eメモリモジュールが9GT/秒という高いデータ転送速度を達成できることを明らかにした。
ただし、SK hynixは次世代メモリの計画容量についてまだ何も明らかにしていない。TrendForceの以前の調査では、SK hynixは2024年第1四半期に24GBのHBM3Eモジュールを量産し(144GBのHBM3Eメモリを搭載したNVIDIAのGH200のようなアプリケーションに対応するのに間に合う)、現在の16GBのHBM3スタックよりも容量を増やすと予測していた。この可能性はまだありそうだが(特にNVの発表)、今のところ未確認のままだ。
一方、SK hynixは、HBM3EスタックにAdvanced Mass Reflow Molded Underfill (MR-RUF) 技術を採用し、放熱を10%削減することも明らかにした。しかし、MR-RUFが提供できる利点は熱だけではない。MR-RUFは、層間のアンダーフィルを改良することで、熱伝導率を改善し、HBMスタックの厚みを減らすことを可能にする。これにより、8-Hiモジュールと同じ高さしかない12-Hi HBMスタックの構築が可能になるのだ。ただし、これがすなわち同社が12-Hi HBM3Eスタックを扱っていることを意味するわけではない。
現在、SK hynixはHBM3メモリの唯一の大量生産メーカーであり、特にNVIDIAのH100やその他の生成AI向けアクセラレータの需要が爆発的に伸びていることから、同社は非常に有利な立場にある。HBM3Eの開発はSK hynixがリードを維持するためのものだが、来年、より高速なHBMを提供するメモリ・ベンダーはSK hynixだけではないだろう。Micronも先月、HBM3 Gen2を発表しているが、Samsungはこの2社から水をあけられている状態だ。実際、DRAM技術やさまざまなメモリ・インターフェースの標準化を担当するJEDECは、新しいメモリに関する最終仕様をまだ発表していないため、3社ともJEDECを上回っているようだ。
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