Seagate(シーゲイト)は、Exos 16および18TBディスク・ドライブに2番目の読取り/書込みヘッドを追加し、データ転送速度を2倍以上に向上させたとのことだ。同社からは正式な発表はなされていないが、新たな製品が登場し、その製品がMach2アクチュエータ技術を搭載し、転送速度が大幅に向上していることが述べられている。
- Seagate: Exos 2X18ハードディスク・ドライブ
- Block&Files: Seagate doubles 18TB disk’s data transfer speed
アクチュエータは読み取り/書き込み用のヘッドだ。これまで、HDDにはアクチュエータが1セットしか搭載されていなかったが、Exos 2X18ではアクチュエーターが2つのセットに分かれており、独立して動作することが可能になっている。
これにより、Exos 2X18(18TB)は、HDDの内部で2台の9TBドライブが動いているような挙動となるのだ。2台のアクチュエーターはそれぞれ独自の論理ユニット番号(LUN0とLUN1)を持ち、ホストのOSによって独立してアドレスが設定される。ドライブは、12Gbps SASポートまたは6Gbps SATAポートを搭載することができる。ただし、SASプロトコルは2つのLUNをサポートしているが、SATAプロトコルはサポートしていない。顧客は、デュアルLUN、デュアル・アクチュエーター2X18ドライブをサポートするために、アプリケーション・ソフトウェア・コードを変更する必要があるとのことだ。
また、デュアル・アクチュエーター・メカニズムを搭載するためにドライブ・エンクロージャー内に余分なスペースが必要になるため、X20では10枚プラッタを搭載していたが、2X18では、9枚プラッタに留まる。つまり、1プラッター分のペナルティが発生することになる。
SASとSATAの両方の構成で、期待される性能上の利点を得るには、ユーザは両方のアクチュエータに同時にコマンドを送信する必要がある。デュアル・ポートSAS構成はサポートされていないとのことだ。
だが、これによるメリットは大きく、転送速度は実に最大554MBpsと、Exos 18(最大270MBps)の2倍を実現している。ただし、ディスクのレイテンシ(シーク時間)は4.16msと変化はないようだ。
SeagateのFAQによると、2X18は「キューの深さが浅いランダム読み出し処理(キューの深さが浅いためコマンドのレイテンシが低い)と転送サイズの大きなシーケンシャル処理に重点を置くハイパースケールワークロード向けに設計されました。単一アクチュエータと比較して最も性能が向上するのは、高転送サイズのシーケンシャル・リード/ライト(128KB転送以上)、ランダム・リード(すべての転送サイズ)、ランダム・ライト(128KB転送以上)時です。」とのことだ。
このIOパターンの用途は、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)、ビデオストリーミング、メールサーバー、バックアップ/シャトルサービス、Ceph、Hadoop(HDFSとMapReduceで小規模に実証された利点)、クラウドアプリケーションであり、この種のワークロードが主に恩恵を受けると考えられている。
Exos 2X18は、SSDの低レイテンシーや高速な転送速度が求められるSSDの代替品や代用品にはなりえない。SeagateのIronWolf Pro 125など、SASおよびSATAインターフェースのSSDは、シーケンシャルリードとライトの転送速度がそれぞれ最大545MBpsと520MBpsなので、Exos 2X18はデータ転送速度ではSSDを上回るが、レイテンシはやはり低くなる。
ハードウェアRAIDカードはデュアルアクチュエータードライブをサポートしない。ソフトウェアRAIDでは対応可能だが、データ配置のアルゴリズムを変更し、1つのLUNの冗長データを同じ物理ドライブ内の2番目のLUNに配置しないようにする必要があり、ドライブ障害に対するRAIDの保護という目的を破っている。
Exos 2X18のFAQでは、デュアルアクチュエータードライブの動作や特性について詳しく説明がなされている。
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