スマートフォンの二大巨頭、AppleとSamsungはその最新フラッグシップモデルにおいて、スマートフォンで初めてチタニウム素材を同時に導入し、これを大々的に宣伝した。
ただし、Appleは航空宇宙産業レベルのチタニウムとして「グレード5」のチタニウム素材を採用している事を明らかにしているが、Samsungはその点については特に触れず、「チタニウム」を採用したとのみ述べていた。
今回、YouTuberのJerryRigEverything(Zack Nelson)氏が分解を行い調査した結果、AppleとSamsungの用いたチタニウム素材には明確な品質の差が見られることが明らかになった。
細かな点ではあるが、一般的に腕時計などに用いられるチタニウムと呼ばれるものには、「グレード5」と「グレード2」がある。Appleが採用したグレード5は、チタニウムにアルミニウムとバナジウムを含んだ合金だ(アルミニウム6%、バナジウム4%、そのためTi 6Al-4Vとも呼ばれる)。グレード2は純チタンであり、チタニウムのみで構成される金属である。グレード5はグレード2より硬く、ハイエンド製品ではグレード5が、低価格帯ではグレード2が使用されることが一般的だ。
JerryRigEverythingはS24 Ultraの金属を特定するため、MOXTEK社のXRFスキャナーを利用した。これにより、Galaxy S24 Ultraがそれぞれどういった素材で構成されているのかが明らかになった。
まず、調査の結果Samsungがその最新フラッグシップモデルで採用したチタニウムは、AppleがiPhone 15 Proモデルで採用したチタニウムよりも品質で劣る「グレード2」のチタニウムを採用している事が明らかになった。前述したように、グレード2のチタニウムは、6061アルミニウムよりもわずかに耐久性が高いが、グレード5のチタニウムほどの強度はない。また、市場価格の差で言えば、グレード5はグレード2よりも約4倍も高価だ。
また、Appleがチタンバンドとインナーフレームをより強固な独自の固体拡散プロセスで接合しているのに対し、Samsungはアルミとチタンの間にプラスチックを注入するオーバーモールディングを採用し、2つの金属を固定してい事も明らかになった。
JerryRigEverythingは、Galaxy S24 Ultraのボディからプラスチックとアルミニウムを溶かした後、SamsungがGalaxy S24 Ultraに3〜5ドル相当のチタンを使用しているのに対し、AppleはiPhone 15と15 Pro Maxに10〜15ドル相当のチタンを使用している可能性があると指摘している。もちろん、これには金属の成形や鋳造にかかる追加コストは考慮されていない。しかし全体的には、AppleはGalaxy S24 Ultraと比較して、iPhone 15 Proシリーズでより高品質で高価なチタンを使用しているようだ。
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