12.5km離れた2つの都市間で“量子もつれ”を生じさせることに成功

masapoco
投稿日
2022年8月18日 14:02
entanglement

量子コンピュータは、現在使われている古典コンピュータよりも強力に動作し、次元の違う処理能力を実現する物と期待されており、どこかで名前を聞いたこともあるだろう。近年、一部の研究者は、その量子コンピュータとは別に、「量子ネットワーク」という新しい通信技術の実現可能性についても模索している。これは、今日の古典的なコンピューティング デバイスが情報を交換するのと同じように、量子デバイス同士が、情報を交換できるようにするネットワークのことで、「究極の情報通信技術」と呼ばれている。

中国科学技術大学と済南量子技術研究所の研究グループは、最近、都市環境内で互いに12.5km離れた場所にある2つのメモリーデバイスの間で量子もつれ(量子エンタングルメント)を生じさせることに成功したことを発表した。

既に同研究グループは2020年にに50kmのファイバーリンクを介した2つの量子メモリのもつれを実証した論文を発表していたが、その実験では使用した量子メモリはどちらも同一の実験室にあるもので、完全に独立した物ではなかった。今回の研究では、2つの量子メモリを完全に独立させて距離をとり、エンタングルメントが実現できるかを試みたのだ。

中国科学技術大学のXiao-Hui Bao氏らによる実験では、2つの異なる量子ノードは直線距離にして12.5km離れた2カ所に置かれた。ノードAと名付けられた最初のノードで、彼らは最初の量子メモリを1つの光子で量子もつれを生じさせた。この光子はノードBに送られ、2番目の量子メモリに格納された。

「このようにして、離れた場所にある2つの量子メモリをエンタングルするのです」メモリから放出される光子は近赤外線(795 nm)であり、ファイバーによる低損失伝送には適していないため、量子周波数変換技術を利用して光子の波長を1342 nmにシフトし、全体の伝送効率を大幅に向上させました。」とBao氏は説明する。

理論的には、量子もつれは距離に関係なく維持される。しかし、電磁波や熱波などの環境による干渉(ノイズとも呼ばれる)に対して、量子もつれは影響を受け、その状態が崩れることで、コヒーレンスやエンタングルメント、ひいては情報の喪失につながることが問題となっている。

「私たちの最近の研究の主な成果は、量子メモリによるエンタングルメント分布の最長距離を実現したことです 。このようなもつれ合いは、量子ネットワークや量子中継器を構築するための基本的な要素となります。」とBao氏は続けて説明している。

このBao達による最新の研究、量子技術と量子インターネットの確立に焦点を当てた研究は、この分野での今後の研究に光を当てている。

「今回の実験では、生成された遠隔もつれにはまだ前触れがなく、さらなる応用が制限されています。近い将来、私たちは、宣言されたバージョンを実装することを計画しています。」とBao氏は今後の展望を語った。

この研究により、量子インターネットが実現され、量子情報がより効率的に、より安全に、あるノードから別のノードに送られるようになる。さらに、光子は外部からの干渉(ノイズ)に非常に敏感であるため、光子を妨害してその内容にアクセスしようとすると、光子が崩壊してしまい、目的の情報が失われてしまう。これは、量子安全通信の新時代を切り開く可能性を秘めている。



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