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国家によるAI規制を逃れるため、公海上にAIデータセンターを構築する計画が発表

米国・ネバダ州に拠点を置くDel Complex社が、世界各国で進む人工知能(AI)に対する規制を避けるために、公海上に浮遊型コンピューター施設「BlueSea Frontier Compute Cluster(BSFCC)」を設立する計画を明らかにした。BSFCCは、10,000個のNVIDIA H100 GPUを搭載し、大規模なAIモデルの展開に使用されることが予定されている。

AIが劇的な進歩を遂げ、様々な産業に進出しようとする中、これに対する世界各国の規制も徐々に厳しくなってきている。先日も、米国のBiden政権はAIの規制に関する大統領令を発令したが、Del Complex社は政府の規制を避ける新しい方法を模索しており、こうした米国やEUのAI規制に反対し、「安全の名の下に中央集権化する」と主張している。その解決策として、海上に浮かぶ主権国家を作ることを提案しているのだ。

このコンピュートクラスターは、最大10,000台のNVIDIA H100(ホッパー)データセンターGPUを搭載することができる海上プラットフォームだ。

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(Credit: Del Complex)

BCFCCに搭載されるコンバインドサイクル発電所は、2基のガスタービン発電機と1基の蒸気タービン、そして主電源システムを補うことができる屋根設置型のソーラーアレイを備えている。Del Complexが主張するGPU数(1万個のNvidia H100)を達成した場合、関連する冷却やその他のハードウェアはおろか、GPUの電力だけで数メガワットのは優にかかる事だろう。

BSFCCの屋上に設置された太陽電池アレイが、このような大規模な計算クラスターを稼働させるのに必要な電力を供給できるとは考えにくい。したがって、太陽電池アレイは、一部のコアシステムのバックアップとして機能しながら、補助的に環境に優しい電力を供給するためにあるのだろう。Del Complexはまた、「バッテリー・エネルギー貯蔵システム」が搭載されると述べている。

Del Complex社によると、BSFCCは、恒久的な人口、定義された領土、政府、および他の国家との関係を持つ能力を含む、国家と宣言されるためのすべての基準を満たしているという。このコンセプトは、イングランド沖の国際的には国家として認められていない自称自治国家であるシーランド公国といくつかの類似点を持つ。

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(Credit: Del Complex)

Del Complexは、「代替現実企業」として、人工一般知能(AGI)、ニューラルプロステティクス、ロボティクス、クリーンエネルギーなどの最先端技術分野での研究に焦点を当てている。同社のウェブサイトによると、ベンチャーキャピタルと政府支援の研究助成金の組み合わせによって資金提供されており、米国全土に複数の施設を運営している。BSFCCプロジェクトの進捗状況や、建設が開始されたか、資金が確保されているかは明確ではない。

Del Complexは、BSFCCを公海上に固定することで、理論的には、各国の直接的な規制の手をかわすことができる。しかし、BSFCCは食料や飲料水、インターネット接続を自給する手段を持っていない。衛星接続を確立することは可能だが、Del ComplexがターゲットにしているAIのユースケースに必要な大量のデータを簡単に移動させるのに必要な帯域幅を衛星通信では提供出来ないだろう。

ここで示唆されるのは、BSFCCは親AI/規制緩和政策をとる国の比較的近くに設置されるか、少なくともDel Complexが自国からサポート・サービスを運営することを容認する国に設置される必要があるということだ。これは、BSFCCに関するDel Complexの安全保障の主張と呼応しているだろう。安全保障は、”パートナー国家”だけでなく、民間請負業者であるXio Skyによって提供される。

同様に、国家はBSFCCで活動するAI企業に直接規制をかけることはできないかもしれないが、例えば国内企業との取引を禁止したり、規制緩和された研究を支援する国に制裁を加えたりすることで、自国市場での取引を困難にすることはできる。米国が中国に対して行っている一連の輸出規制による技術移転の制限がイメージしやすいだろう。BSFCCに対する同様の政策により、米国市場へのアクセスや、米国製のハードウェアや企業サポートへのアクセスが困難になる可能性がある。Nvidiaは近年、暗号通貨とAIの爆発的な普及の両方を利用し、データセンター向けグラフィックスカードの提供で市場をリードしてきた。

こうした、データセンター事業者が規制から逃れるためにリソースをオフショア化しようとしたのはこれが初めてではない。よく知られている例としては、シーランド公国がある。1967年以来、イギリスの海岸から11km離れた、第二次世界大戦で放棄された砦の上に設置されている。シーランドは1975年に主権を宣言する前に、海賊ラジオ局としてスタートした。2000年代初頭、シーランドはHavencoのデータセンターとして使用され、3年間、極めて自由な利用ポリシーを持つサーバーホストおよびデータヘイブンとして運営されていた。

ソーシャルメディアへの投稿は多くの反響を呼んでいる。あるユーザーは、Del Complexが完全な自律都市へと事業を拡大する状況を想像している。これに対して同社は、「相互にリンクしたBSFCCが都市国家を形成し、政治経済戦略に基づいて再構成することができる」と回答している。

今後、更なる投資家がつき、Del Complexのアイデアを進めていくのか、AI規制に対応して作られた浮遊主権国家がどのように進展していくのか。興味深く、今後の展開が気になるニュースだ。

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(Credit: Del Complex)

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