量子コンピューティングの世界的なリーディングカンパニーである英国Oxford Quantum Circuits(以下、OQC)が、東京都内にあるEquinixのデータセンター「TY11 International Business Exchange™ (IBX®) 」に高性能な量子コンピュータを導入し、2023年後半から「Quantum Computing as a Service (以下、QCaaS)」を提供することを発表した。
OQCのCEOであるIlana Wisby博士は、次のように述べている。「世界は、量子コンピュータが我々の生活に変化をもたらすほど成熟するのを待ち望んでいました。エクイニクスのワールドクラスのTY11データセンターに量子コンピューティングを導入することで、この現実に一歩近づくことができます。量子コンピューティングは、技術とプロセスの面で大きな転換を意味します。従来型の古典コンピュータとは異なり、量子コンピュータは膨大な量のデータを信じられないほどのスピードで処理することができます。私たちは、エクイニクスとともに、世界中の企業における量子コンピュータのスキルセットと能力の開発を支援できることを嬉しく思います。未来はここにあり、私たちは量子コンピュータ時代の最先端を担っています」
量子コンピューティングとは
量子コンピューティングとは、従来の古典コンピュータとは異なる原理で動作する新しい計算技術である。古典コンピュータはビットと呼ばれる0か1の二値情報を使って計算するが、量子コンピュータは量子ビットと呼ばれる0と1の重ね合わせ状態を取り得る情報を使って計算する。このため、量子ビットの数が増えるにつれて、同時に処理できる情報量が指数関数的に増大し、古典コンピュータでは解けないような複雑な問題に対しても高速かつ効率的に解答する可能性がある。
OQCの量子コンピュータ
OQCは、オックスフォード大学からスピンアウトした企業であり、自社開発した「Coaxmon」という3次元アーキテクチャを採用した超伝導型量子ビット型量子コンピュータを製造している。Coaxmonアーキテクチャは、2次元回路では困難だった配線や制御信号のルーティングを垂直方向に行うことで簡略化し、また温度やノイズなど外部からの影響を低減することで、量子システムの安定性や信頼性を向上させている。現在OQCは4量子ビット(Sophia)および8量子ビット(Lucy)のシステムを運用しており それぞれ自社プライベートクラウドおよびAmazon Braket経由で利用可能だ。
Oxford Quantum Circuits株式会社のカントリーマネージャー杉浦 敦は、次のように述べている。「OQCは、量子コンピュータをデジタルインフラに統合し、実用化・社会実装することを推進しており、今回エクイニクス社の国内のデータセンターに当社のQCaaSプラットフォームが導入されることを大変光栄に思います。超伝導量子ビット型量子コンピュータの先進的な研究開発が行われている日本において、その研究成果を実用につなげるため、量子コンピュータの商用提供を進め日本市場の発展に寄与してまいります」
Equinixとの協業
Equinixはグローバルなデジタルインフラストラクチャ企業であり 世界中に約230カ所以上 のデータセンター(IBX施設)を展開している。Equinixではオンデマンドのインターコネクション・ソリューション「Equinix Fabric®」 を提供しており これによりプライベートデータセンター、IBX施設、主要なクラウドプロバイダーのいずれでも、企業ワークロードのプライベート接続を迅速に構築することができる。
Equinixジャパンの代表取締役社長 小川久仁子は、次のように述べている。
「量子コンピュータは、ビジネスの課題をより持続可能な方法で変革する可能性を秘めています。当社は世界のデジタルインフラストラクチャ企業として、より簡単・安全・高帯域なアクセスを実現するこの画期的な技術を世界中の何千もの企業にご提供できることを嬉しく思います。OQCの量子コンピュータがPlatform Equinix®のグローバルエコシステムとして加わることは、イノベーションとサステナビリティを実現するするという当社のコミットメントを裏付けするものです。今日私たちが直面しているデジタルビジネスにおける重要な課題を解決するために共に協力し合うことを楽しみにしています」
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