Bloombergによると、OpenAIの最高経営責任者(CEO)であるSam Altman氏は、人工知能(AI)アプリケーションの処理に特化したプロセッサを製造する半導体製造施設を建設することを計画しており、その資金調達のため、アブダビを拠点とするG42や日本のSoftBankを含む複数の企業に対し支援を打診しているという。Altman氏は、AI技術は今後数年のうちに独自の半導体サプライチェーンをサポートできるほど普及すると考えている。
OpenAI、そしてAltman氏が独自のAIプロセッサを開発する意向であることは昨年末より伝えられていた。これは、NVIDIAのH100 GPUなど、AIアクセラレータの高い需要に供給が追いついていない現状を鑑み、独自のプロセッサを構築しようとする動きと見られていた。
だが、今回Bloombergによって報じられたAltman氏の行動はこれとはどうやら異なる。Bloombergが表現しているように、Altman氏は「AIチップ工場のネットワーク」を構築したいのだという。このプロジェクトは、AIアクセラレータの需要の高まりをサポートするために、世界中のチップ工場の建設と運営に資金を提供するものだ。このプログラムの目的は、需要に見合ったAIプロセッサーの健全な供給を確保するために、十分な数の組立ラインを建設することである。
つまり、AIによる半導体需要の急増は今後も続き、TSMC、Samsung Foundry、Inel Foundry Servicesのような既存のファウンドリーでは、今後数年間でAI向けチップの需要を満たすことができなくなるとAltman氏は考えているのだ。
Bloombergは、Altman氏がAIチップを生産するために既存のファウンドリーを買収する計画なのか、それともOpenAIと潜在的なパートナーのニーズに応えるためにまったく新しいファブ・ネットワークを構築する計画なのか、詳細は明らかにされていない。
だが、新たにファブ・ネットワークを構築するのは、簡単でも安くもない。1つのチップ工場にかかる費用は、立地や予定生産能力にもよるが、100億ドルから200億ドル程度である。Intelがアリゾナ州に建設する2つの工場はそれぞれ150億ドル、TSMCは近隣に建設する工場プロジェクトに約400億ドルを見込んでいる。
さらに、これらの施設は、最近見られるような労働力不足による遅延がない場合でも、完成までに4年から5年かかると見られている。
恐らくOpenAIはファウンドリー事業に参入しようとしているわけではなく、調達した資金をTSMCやSamsung、そしてIntelといった最先端チップメーカーに流し、新たなラインを確保することを目指しているという方が可能性としては高いだろう。Altman氏はこの目的のために「トップチップメーカー」を引き込もうとしていると伝えられており、これはおそらくTSMCとSamsungを指すものと考えられる。
NVIDIA、AMD、IntelのGPUとAIアクセラレータはすべてTSMCの工場で製造されているため、TSMCは有力な候補となるだろう。
もしくは、OpenAIが自社で設計した新たなAIチップを製造するためにファブの生産能力に入札するための資金を確保するためである可能性もある。
いずれにせよ、今後も続くであろうAI需要とともに、半導体需要もまだしばらくは収まらないだろう。
Source
コメントを残す