電気自動車「リーフ」で有名な日産自動車は、そのリーフで使われた古いバッテリーをポータブル電源に変えて再利用することを発表した。
日産自動車によると、「リーフ」の車載バッテリーは、自動車が機能しなくなった後でも高い残存性能と安全性を保っており、問題なく再利用できるとのことだ。
必要なモジュールは2つ
日産自動車は、エレクトロニクス・メーカーのJVCケンウッド株式会社、ハイブリッド車用リチウムイオン電池システムの製造・販売を行う4Rエナジー株式会社と協力し、まだ電力が残っている電池をポータル電源に変身させた。「ポータブルバッテリー from LEAF」と名付けられたこのポータブル電源の販売価格は税込み170,500円とのことだ。今のところ日本での発売のみとなっている。
商品は、ポータブル電源として用いるに十分な仕様を備えており、以下のような特徴となっている:
- 車載可能:暑さや寒さに強いため、-20℃~60℃の環境において車内での使用や保管が可能。
- 長期間保管可能:自己放電が少なく長期保管が可能なため、災害時等の非常時用電源としても活用出来る。
- 繰り返し充電可能:約2,000回の繰り返し充電が可能のため、長い期間使用することが可能。
【主要諸元】
充電池タイプ | リチウムイオン充電池(リサイクルバッテリー) |
充電池容量 | 633Wh |
入力 | 12~25V DC 100W |
AC出力 | 【AC×2】100V AC 50/60Hz 合計600W(瞬間最大1,200W) HIGH-POWER時 合計900W |
USB出力 | 【USB type-C™】5V DC 3A 【USB type-C™】5V/9V/15V/20V DC 3A(最大60 W) 【USB type-A×2】5V DC 1.5A |
シガーソケット出力 | 12V DC 10A 最大120W |
充電時間 | ACアダプター使用時:約9.5時間 シガーアダプター使用時:約14時間 |
充電温度範囲 | 0℃~45℃ |
動作温度範囲 | -20℃~60℃(ただし、バッテリー温度が60℃を超えた場合は停止) |
外形寸法(W)×(H)×(D) (ハンドル収納時) | 370㎜×205㎜×282㎜ |
重量(重さ) | 14.4kg |
サイクル寿命 | 約2,000回 |
日産リーフでは、元々48個のバッテリーモジュールを用いていたが、このうちの2つがポータブル電源には用いられるようだ。
「引退したEVのバッテリーは、エネルギー貯蔵用途で大きな可能性を秘めています」と、ウィンザー大学の電気・コンピューター工学准教授、Balakumar Balasingam氏はABC Newsに語った。
彼は、EVのバッテリーは充電容量が80%に達すると使えなくなるとしているが、バッテリーには電気自動車以外の用途ではまだ使えるだけのパワーが残っている。
「このような解決策がなければ、今後10年間で何十億ものEV用バッテリーパックが製造され、早期にリサイクルされることになるでしょう。それは持続可能性の問題です」と彼は語る。
レアアース使用量の削減
日産は長年にわたりEVのレアアース使用量削減に取り組んでおり、2020年モデルでは2010年モデルのEVリーフよりもレアアースの使用量を最大85%削減している。
最も注目すべきは、自動車メーカーがモーターをリサイクルしてレアアースを回収していることだ。2021年9月には早稲田大学と提携し、このプロセスの改善方法を開発した。
研究者たちが考案した方法は、従来のアプローチよりもレアアースを最大98%多く回収でき、時間も最大50%短縮できることがわかった。
一方、2020年2月、日産はすべての内燃機関開発を終了したいと発表した。同年4月にはNASAと協力し、わずか15分で充電できる極めて効率的な電気自動車用バッテリーを構想した。
「日産は、分子レベルの電池材料研究から安全で高性能なEVの開発まで、幅広い研究開発活動を通じて電動化技術をリードしてきた。EVを蓄電池として活用した街づくりにも取り組んでいます」と、当時、研究開発担当の中黒邦夫副社長は語っていた。
日産はそのイノベーションによって、世界が直面する継続的な問題に持続可能な解決策を提供するだけでなく、研究開発の最前線に立つことで競争力を維持している。それが、かつて言われていた「技術の日産」のあるべき姿だろう。
Sources
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