ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による天王星の新しい眺め

masapoco
投稿日 2023年12月21日 8:59
Uranus close up view NIRCam

天王星のクールな点は、太陽系の他の部分と比べて天王星の向きがユニークであることだ。天王星は他の黄道面に対して98°傾いている。そのため、地球から見ると、例外的に北極や環を見ることができる。欧州宇宙機関(ESA)が最近発表した、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を使って撮影された天王星の画像では、その視点が存分に発揮されている。

JWSTは現在運用されている宇宙望遠鏡の中で最も強力なものだが、それでも天王星の画像を撮影しようとすると苦労する。天王星の自転は比較的速く、1日はわずか17時間しかない。JWSTの観測装置が必要とする長時間の露光は、嵐システム全体が惑星表面を物理的に移動する可能性があることを意味し、それによって惑星の画像がぼやける。それだけでなく、太陽系の月も比較的速く移動するため、長時間の露光中に惑星の周囲に光の弧のようなものができる。

これを回避するために、JWSTのハンドラーたちは、いくつかの長さの露出を組み合わせて、惑星、環、そしていくつかの衛星の息をのむような写真を1枚の壮大なショットに収めた。まずは惑星から。

前述のように、天王星は横倒しになっているため、地球からの視点(JWSTの場合はL2ラグランジュ点からの視点)では、天王星の北極が真正面に見える。この画像の場合、天王星の北極は氷に覆われており、通常、直射日光が当たる夏にしか見ることができない。惑星の右側にある明るい「内側」の氷冠と、左側にある暗い「下側」の氷冠の違いもわかるだろう。

しかし、この画像で最も目を引くのは環だろう。天王星には明らかな環のパターンがあり、惑星に最も近い拡散環である「Z環」のように、一般的な観測装置では非常に見づらいものもあるが、JWSTの画像でははっきりと写っている。外側のリングは画像ではやや見分けにくいが、特定のポイントでは、真ん中のリングと同じように、より広いリングシステムから隙間によってはっきりと分かれている。これは間違いなく、これまで撮影された第7惑星の環系で最も印象的な写真のひとつである。

この画像のもうひとつの印象的な点は、天王星の27個の衛星のうち9個がはっきりと写っていることだ。このように撮影されると、それらはほとんど背景の星のように見える。しかし、それらは天王星の小さな衛星の一部であり、主要な5つの衛星は画像に写っていない。

ロザリンド、パック、ベリンダ、デズデモーナ、クレシダ、ビアンカ、ポーシャ、ジュリエット、パーディタの9つの月が見える。その大きさは、パック(直径162km)からペルディータ(直径30km)まで様々である。天王星の衛星のほとんどがそうであるように、ほとんどがシェイクスピアの登場人物にちなんで名づけられた。この画像に写っている唯一の例外はベリンダで、Alexander Popeの『The Rape of the Lock』の登場人物にちなんで名付けられた。

間違いなく、この画像を使って何らかの科学が行えるだろうが、ESAのプレスリリースには、この画像でどのような科学が行われているのかについては触れられていない。時には、このような見事でユニークな写真を撮ることができる望遠鏡があるだけでも素晴らしいことであり、JWSTのオペレーターはそのことを知っているはずだ。ほとんどの宇宙ファンは、太陽系で最もユニークな世界のひとつであるこのような見事な画像が人類のカタログに加わることを喜ぶだろう。


この記事は、ANDY TOMASWICK氏によって執筆され、Universe Todayに掲載されたものを、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示4.0 国際)に則り、翻訳・転載したものです。元記事はこちらからお読み頂けます。



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