稼働する回転ファンを備えていないにもかかわらず、独自の超音波を発する膜によって空冷を実現するアクティブ冷却ソリューション「AirJet」については何度か当サイトでもご紹介しているが、Macworldの新たなレポートで、このAirJetの開発元Frore SystemsがMacBook Airを改造してAirJetを取りつけることで、その冷却性能を改善させ、上位のMacBook Pro並の性能を発揮させる様子が紹介されている。
MacBook Airはご存じの通り、AppleのMacBookシリーズで最薄のラップトップであり、それを実現するためにMacBook Proのような冷却ファンは備えていない。そのため、負荷の高い作業が続くとサーマルスロットリングによる性能の低下が起こってしまう。一方でMacBook Proは冷却ファンを備えており、送風によるアクティブな冷却が行われ、チップが高負荷な作業を持続的に行う事が出来る様に設計されている。
Frore Systemsの冷却ソリューション「AirJet」は、厚さは2.8mmで、冷却の対象となるチップにヒートシンクのように貼り付けることが出来る。AirJetには空気の通り抜ける通路があり、左右のスリットを通して吸排気が行えるようになっている。そしてそのために超音波振動する振動膜が用いられている。同社によると、このAirJetは従来の方法を使用した場合と比較して、飛躍的な冷却性能の向上を実現するとしている。既にIntelと提携し、一部SSDの冷却にも搭載されて発売されている。
今回、これを改造したMacBook Airに搭載した実験が行われた。厚さが2.8mmしかないAirJetなので、問題なく搭載する事が出来たという。ただし、吸排気のためのスリットを今回の改造MacBook Airには独自に設けているとのことだ。
この冷却性能の差は実際にベンチマークテストで結果として現れてくる。Cinebench R23ベンチマークのような持続的に高負荷をかけるテストでは、同じM2チップを搭載していてもMacBook Airは8,238のスコアであるのに対し、M2 MacBook Proは8,711と明らかに高いスコアを記録していた。
だが、今回改造されたAirJetを搭載したMacBook Airはなんとそれだけで8,720へと顕著なスコア向上を示し、AirJetの有用性が示されている。
ただし、AppleがMacBook AirとMacBook Proの間の主要な差別化要因を取り除くために使用する可能性は低いだろう。しかし、Frore Systemsは、将来のMacBook Proモデルで冷却ファンのサイズを縮小するのに役立つと考えている。特にAirJetの省電力性能はファンに比べて圧倒的で、サイズも抑えることが出来るため、バッテリーの大型化と省電力により、より長時間の駆動が可能になる可能性もある。
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