アメリカの航空宇宙企業であるLockheed Martin社は、革新的な原子力を動力とした宇宙船技術の開発契約を獲得した。化学ベースのロケットと比較して、宇宙用原子力推進技術は燃料効率に秀で、著しい推力を生み出す能力を持つ。これにより、火星などの深宇宙への有人ミッションに向けた有望な技術選択肢となっている。
これらの技術は、標準的な太陽光発電宇宙船よりも高いエネルギー生産と長い運用寿命を要求されるミッションには不可欠である。
公式発表によると、米空軍研究所(AFRL)は、「高出力原子力発電・推進技術および宇宙船設計の成熟」を目的として、Joint Emergent Technology Supplying On-Orbit Nuclear(JETSON)イニシアチブのもと、同社に3370万ドルを供与した。
発熱型核分裂炉
JETSONの核心は、熱を発生する核分裂炉を利用することである。この熱はスターリングエンジンに伝えられ、スターリングエンジンは6kWeから20kWeの電気出力を発生する。
この出力は、一般的なソーラーアレイの約4倍と大幅に大きく、重要なことは、作動するために常に太陽光を必要としない点だ。
この技術は、通常600ワット(電球6個分)の出力を持つソーラーパネルに頼る宇宙船よりもはるかに多くの電力を生み出す可能性を秘めている。
原子力発電システムは、深宇宙探査ミッション、特に太陽から遠い場所や日陰の場所での発電に貴重な選択肢を提供する。
Lockheed MartinのJETSONプログラム・マネージャー兼主任研究員であるBarry Miles氏は、「宇宙用核分裂開発は、広大な宇宙空間での移動や探査方法を劇的に変える可能性のある技術を導入するための鍵となる」と、述べている。
Lockheed Martinは、重要な政府機関や産業界のパートナーとともに、これらのシステムの開発に注力している。
JETSONの取り組みが将来の深宇宙ミッションの鍵に
JETSONチームは、Lockheed MartinのLM2100衛星にオンボード電力と電気推進ホールスラスターを供給することを目指している。この試みは、原子力電気推進を用いた月、火星、そしてそれ以遠への有人探査を前進させるための重要なステップである。
Lockheed Martinは、このJETSONプログラムにおいて、原子力発電と原子炉の開発と設計で専門的な経験を持つSpace Nuclear PowerおよびBWX Technologiesと協力する。
公式リリースでは、このプロジェクトは現在「予備設計審査」中であり、「重要設計審査レベル」に移行する可能性があると強調している。
「将来のJETSON飛行実験は、将来の宇宙軍の作戦を形成する機動力と出力能力を強化する」とSpaceNukesのCEOであるSpace Nuclear Power氏は語った。
どうやら航空宇宙大手のLockheed Martinは、宇宙原子力発電技術の進歩の最前線にいるようだ。
伝えられるところによると、7月、NASAと米軍は、核熱推進の効率をテストするための設計、製造、打ち上げを同社に依頼した。DRACO(Demonstration Rocket for Agile Cislunar Operations)は、このテストミッションに与えられた名前である。この推進システムは、従来の化学的方法よりも大幅に効率的である可能性がある。
Sources
- Lockheed Martin: Lockheed Martin Jets into Nuclear Electrical Spacecraft Power
- via The Register: US Air Force wants to see some atomic motors for future spacecraft
コメントを残す