IntelはArc Alchemistグラフィックスカードを支えるレイトレーシング技術に焦点を当てた新しいビデオを公開した。Arc A770はまだその実力を明らかにしていないが、発売が迫るグラフィックカードは最高のグラフィックカードの列に名を連ねることを目的として開発が進められている。
これまで、IntelのArc A380は既に発売されており(日本では未発売)、どの程度の性能があるのかは明らかになっていたが、Arc A380はエントリーレベルのSKUで、わずか8個のレイトレーシングユニット(RTU)を備えているのに対し、Arc A770はフラッグシップモデルとなり、32個のRTUを備えたものとなる。Intelは、ArcがNVIDIAの第2世代RTコアであるAmpereと同等かそれ以上であると主張しており、Arc A770の性能は興味深い物だ。
AMDのRay AcceleratorsやRX 6000シリーズのGPUとは異なり、Arcは完全なレイトレーシングのアクセラレーションを備えている。AMDは、テクスチャユニットを使って、4ボックス/サイクルで、レイ/ボックスのBVHインターセクションを行なう。IntelはBVHトラバーサルをハードウェアで行い、1サイクルあたり12レイ/ボックスの交差を行うことが可能だ。それ以上は、AMDもIntelも、1サイクルあたり1レイ/トライアングル交差を、1コアあたりで実行できる。NVIDIAはAmpereでRTコアあたり2倍のレイ/トライアングル交差を行うことができるが、レイ/ボックスのレートがTuringとAmpereのどちらであるかは正確には分からない。
Intelは、BVHキャッシュの詳細を説明し、BVHトラバーサルをさらに高速化するとしている。また、RTUにはThread Sorting Unitがあり、レイトレーシングの結果を複雑さに応じてグループ化し、GPUシェーダコアの利用を最大化させる。しかし、実際のゲームの世界ではどうだろうか。
Intelのベンチマークによると、Arc A770は、1080p(1920×1080)のウルトラ設定でGeForce RTX 3060よりも優れたレイトレーシング性能を発揮した。Alchemistは、1.04倍から1.56倍の間でAmpereを上回っている。Arc A770は、F1 2022、Guardians of the Galaxy、Battlefield V、Deathloopの4タイトルでGeForce RTX 3060に負けただけでした。The DioField Chronicleでは、IntelのグラフィックカードがGeForce RTX 3060と同点となっている。
レイトレーシングは、解像度が上がるに連れて負荷も増えていく。その結果、解像度を上げるとパフォーマンスが低下してしまうのだ。そこで、IntelのXeSS AIアップスケーリングテクノロジーが活かされるのだ。IntelのXeSS 1440pテストでは、レイトレーシングを最大に設定し、可能な限り高い設定を使用した。
XeSSがオフの状態では、Arc A770は、Ghostwire TokyoやHitman 3といったタイトルで40FPSを超えるフレームレートを実現するのに苦労していた。 しかし、XeSSを有効にしてバランスプリセットを設定すると、Arc A770はGhostwire Tokyoで1.77倍、Hitman 3で1.61倍ものパフォーマンスを示したのである。ただし、これはバランス型プリセットでの話だ。つまり、見た目の美しさよりもパフォーマンスを重視するのであれば、XeSSのパフォーマンス設定を行うことでさらにパフォーマンスを高めることができる。
XeSSをパフォーマンスプリセットに設定した場合、Arc A770はGhostwire TokyoとHitman 3で2倍以上のフレームレートを実現した。このグラフィックスカードは、シャドウ オブ ザ トゥームレイダー、Arcadegeddon、The DioField Chronicleなどの他のテストタイトルでも、目に見えて性能が向上している(最大1.68倍)。
遅延がなければ、Arc A770は年内に発売されると思われる。Intelは、このグラフィックスカードの価格について明らかにしていないが、噂では、Arc A770の価格が400ドル程度になると言われている。RTX 3060の公式希望小売価格がわずか330ドルであることを考えると、それは理にかなっている。今後は、Ada Lovelaceが登場することで、GPUの価格が下がり続けるのを見ることができるかも知れない。
コメントを残す