Metaが運営する写真共有SNSのInstagramは、サードパーティ企業であるYotiが開発した、顔をスキャンするだけで年齢を推定するAIツールなどを用いて、ユーザーの年齢確認のための新しい方法をテストしているようだ。
年齢確認は、米国の未成年のユーザーが対象となっている
Instagramが年齢を判別するAIツールのテストをしていると聞くと、一体このデータを何に利用しようとしているのだろうかと、Facebookでの前例から変に勘ぐってしまいそうだが、これは同社に対する批判に応えるための取り組みと見られる。
Instagramでは、アカウントを作成するためには“公式には”13歳以上である必要があるが、この年齢確認に対して同社はあまり積極的には取り組んでこなかった。しかし、その後プライバシーや子供の安全性に対する取り組みを求める声が大きくなり、こうした声に応える形で同社は様々な取り組みを行う事となった。今回の年齢確認もその一環だという。
6月23日(現地時間)、Instagramは、米国のユーザー向けに既に登録済みの10代のユーザーが18歳以上になるように誕生日を編集しようとした場合にのみ、ユーザーに年齢確認を求めることを試験的に導入した。年齢確認のために、これまでユーザーはさまざまなIDカードの写真を送信するオプションを利用できたが、それに加えて18歳以上のユーザー3名を保証人とする方法と、先述したAI推定により、自身の顔を含む動画を撮影、Yotiに送信し機械学習によって年齢を判別する方法の2つのオプションも利用できるようになった。
Yotiは、英国政府とドイツのデジタル規制当局によって承認されている、オンラインでの年齢やID検証で有名なテクノロジー企業だ。独自のアルゴリズムでさまざまな顔の信号を用いて、ターゲットの年齢を推定するという。
実際にテストしてみたい場合は、ここでテストすることが出来る。テストに用いられたデータは保持しないとのことだ。
ちなみに正答率は以下の通り公表されている。
Yotiによると、同社のシステムは女性の顔や肌の色が濃い人には精度が低く、24歳未満の場合は推定値が最大2.5歳のズレが生じる可能性があるようだ。ただし、事前に大まかな情報が与えられている場合は、精度が向上するとのこと。外部の非営利団体による2020年版Yotiのシステム分析では、 18歳の人が25歳以上か25歳未満かを推測するのに98.89%の信頼性があることがわかっている。
ただ、このYotiによる年齢確認は、現在デモバージョンであり、写真でシステムをだますことも、テストに合格するために成人した他人を利用してもテストをすり抜けてしまうことが出来たとのことだ。今後は改善されていくものと思われるが、まだまだ問題は多そうだ。
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