Googleは、“次世代型”の地熱発電を開発したスタートアップ企業Fervo Energyと提携しGoogleのデータセンターにクリーンエネルギーを供給するための画期的な地熱プロジェクトが稼働した事を発表した。
地熱発電自体は日本でもいくつか運用されており、ご存じの方も多いことだろう。今回のGoogleとFervoとの提携は2年前にさかのぼる。Googleは「次世代地熱発電プロジェクトを開発するための世界初の企業契約」をFervoと結ぶことを発表した。
Googleによると、現在FervoのEGSは24時間体制で送電網にカーボンフリー電力(CFE)を供給している。これは、2030年までにデータセンターとオフィスの電力をすべてCFEで賄うというGoogleの目標に向けた一歩である。
太陽光や風力といった他のCFE源とは異なり、地熱発電プロジェクトはいつでも稼働できる(例えば太陽光発電プロジェクトは日中しかエネルギーを取り込めない)。
Fervo Energyは今年初め、地熱発電システムとして流量と発電量の記録を達成し、画期的な進歩を遂げた。3.5メガワットの発電が可能で、これは約2,600世帯の電力を賄うのに十分な量であった。この試験結果は、エネルギー会社がEGSが商業規模で稼働可能であることを証明した初めての例であると言われている。
地熱エネルギーは、地球内部から発散する熱を利用する。しかし、地熱エネルギー・システムがうまく機能するには、発電設備を設置する場所の熱、流体、岩石の浸透性という条件が整う必要がある。つまり場所が非常に限られるのだ。
Fervo Energyが開発した強化地熱システム(Enhanced Geothermal Systems: EGS)は、これまで地熱発電が不可能だった地域でも地熱エネルギーを利用できるようにする新しい方法だ。精密方向性掘削技術を採用し、地中2,400メートルまで掘削した後、高温の貯留層にさらに到達するために坑井を水平方向に拡張した。岩盤の割れ目に交差するように2本目の水平坑井を掘削した。同社は1本目の坑井から亀裂を通して2本目の坑井に冷水を送り込む。水は周囲の岩石から熱を吸収する。この熱を利用して蒸気を発生させ、CFEを生産する。これにより、単一の場所から複数の坑井を掘削できるようになり、地表面積が大幅に削減され、掘削のリスクが軽減される
Fervoはまた、2つの井戸内に光ファイバーケーブルを設置し、地熱システムの流れ、温度、性能に関するリアルタイムデータを収集している。これらは、石油・ガス産業から学んだ戦術で、それ以外では手の届かなかったエネルギー資源を活用するためのものだ。
ガスや石油の採掘とは異なり、EGSは水質汚染のリスクが低いと言われている。EGSの貯留層は通常、石油やガスの貯留層よりもはるかに地中深く、地下水や地表近くの飲料水供給源の近くにはない。地熱発電所も地表に水を放出することはない。
Googleは、クリーンエネルギーのソリューションとしてEGSの採用を加速させるために取り組んでいるという。そのために最近、地熱エネルギーの世界的な開発を制限している障壁を取り除くことに焦点を当てた非営利団体、Project InnerSpaceと提携した。一方、Fervoはユタ州にEGSサイトを建設中で、年中無休で400メガワットのカーボンフリー電力を供給できる見込みだ。Fervoによると、このサイトは2026年に送電網への電力供給を開始し、その2年後には本格的な生産に達する予定だという。
Source
- Google The Keyword: A first-of-its-kind geothermal project is now operational
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