Googleは、先日発表した同社の最先端AIモデル「Gemini」の中型モデル「Gemini Pro」と、AIを活用したコード補完・生成ツール「Duet AI for Developers」の一般提供を開始したことを発表した。新バージョンのDuet AIは、パートナー企業25社のデータセットをサポートし、特定のプラットフォーム向けアプリケーションの構築など、開発者の作業を支援する。
Gemini Pro
Gemini Proはテキストの取り込みと出力が可能で、Gemini Pro Visionはテキストと画像の取り込みが可能だが、出力はテキストのみとなる。どちらも、英語、アラビア語、オランダ語、フランス語、日本語、スペイン語など38カ国語に対応する。
Googleによると、Geminiの今回のリリースでは32Kのコンテキストウィンドウが搭載されるが、将来的にはより大きなコンテキストウィンドウが搭載される予定だという。同社はまた、Gemini ProとPro VisionはGoogle AI Studioを通じて無料で使用でき、Python、Android(Kotlin)、Node.js、Swift、JavaScriptがすべてサポートされていると付け加えている。ただし、一般提供が開始されれば、無料では使えなくなる。
Gemini ProとGemini Pro Visionは、Google AI Studio(旧MakerSuite)を通じて本日より無料で利用できる。個人の開発者やチームを対象としたウェブベースのツールで、「プロンプトを素早く開発し、アプリ開発で使用するためのAPIキーを取得することができる」。Googleアカウントでサインインし、Googleドライブから重要なファイルを素早く取得できる。
Google CloudのVertex AIは、より多くのコントロールと統合が可能なアップグレード版という位置づけだ。「完全に管理されたAIプラットフォーム」として、独自のデータを使用し、Geminiを搭載した検索/会話エージェントを構築することができる。さらに、Googleは「Google Cloudの顧客からの入力や出力でモデルを訓練する」ことはない。
Vertex AIにおけるGeminiへのアクセスは、一般提供が開始される来年初めまでは無料である。
Gemini Proの価格ページには、誰でも無料で利用できるプランと従量課金制のプランが案内されている。無料版は1分あたり60クエリ(QPM)に制限されており、もう一方のオプションは60QPMからとなっている。従量課金のしきい値に達すると、1,000文字あたり0.00025ドルまたは1画像あたり0.0025ドルの入力料金と、1,000文字あたり0.0005ドルの出力料金が請求される。
これに対し、OpenAIはトークン・システムを採用しており、トークン1,000個あたり0.03ドルの入力コストと、トークン1,000個あたり0.06ドルの出力コストを課している。OpenAIによれば、1トークンは約4文字なので、1,000文字は約250トークンになる。つまり、1,000トークンは約4,000文字ということになる。OpenAIの標準を使用すると、Gemini Proは、入力に約$0.001/1Kトークン、出力に約$0.002/1Kトークンを課金することになる。
Gemini Pro | GPT-3 Turbo | GPT-4 | GPT-4 Turbo | |
---|---|---|---|---|
1000文字あたりの入力コスト | 0.00025 | 0.00025 | 0.0075 | 0.0025 |
1000 文字あたりの出力コスト | 0.0005 | 0.0005 | 0.015 | 0.0075 |
1000トークンあたりの入力コスト | 0.001 | 0.001 | 0.03 | 0.01 |
1000トークンあたりの出力コスト | 0.002 | 0.002 | 0.06 | 0.03 |
Gemini Pro比での入力コスト倍率 | 1 | 30 | 10 | |
Gemini Pro比での出力コスト倍率 | 1 | 30 | 15 |
Gemini Proは元々OpenAIのGPT-3.5に比肩する性能であると言われていたため、この価格設定は妥当なところだろう。今後Gemini Ultraが登場した際に、どの程度の価格になるのか興味深いところだ。
Duet AI for Developers
Duet AIは、Confluent、HashiCorp、MongoDBといったパートナー企業のデータを活用し、各社のプラットフォーム向けのコード作成を支援できるようになった。Googleによると、Datadog、JetBrains、Langchainからのドキュメントや知識を統合し、テストの自動化、問題解決、脆弱性修正などの活動を支援するという。
Duet AI for Developersは現在、C、C++、Java、JavaScript、Pythonなど20以上の言語をサポートしている。通常のコーディング機能に加えて、例えばGoogleのCloud Loggingと統合されたAIログ要約やエラー説明のサポート、またGoogleがユニットテスト生成のようなタスクを実行するためのワンクリック・ショートカットと説明するSmart Actionsも含まれている。
Googleは、Duet AIを “プロダクションユース向けのアクセス制御と補償を備えたエンタープライズグレードの製品”と位置づけている。同社は、これらのAIツールは生産性を向上させることで、コーディングスキルを置き換えるのではなく、補完するものだと考えている。Googleによると、早期導入企業であるTuring社は、Duet AIを導入後、収益が33%増加したと報告している。
Duet AI for Developersは2024年2月1日まで無料で利用でき、それ以降は月額19ドルとなる。さらに、Duet AI in Security Operationsが一般利用可能になった。Google CloudのSecurity Operations EnterpriseおよびEnterprise Plusパッケージの一部として提供される。
Sources
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