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Google、ヘルスケア業界向け生成AI「MedLM」を発表

テキストや画像のような新しいコンテンツを作成するために使用できる生成AIは、ヘルスケア分野での利用も増加しており、Microsoft、Amazonなどのハイテク大手は今年、この業界に向けた製品を発表している。

現在、生成AIツールを導入している医療機関は比較的少なく、日本での導入はまだまだ時間がかかると思われるが、生成AIの開発が進むアメリカにおいては、最近の調査によると、半数以上の経営幹部が来年中に製品の購入や導入を検討していると回答しており、海外においては来年にかけて導入が加速すると見られている。

そんな中、Googleは医療業界向けに微調整されたモデル群である「MedLM」を発表した。MedLMは、医療情報に基づいて訓練されたGoogleの大規模言語モデル(LLM)であるMed-PaLM 2をベースに構築されている。

Med-PaLM 2は今年3月に公開され、HCA Healthcare、Mayo Clinic、Meditech を含む限られたグループがツールのテストを開始した後、Googleは今夏、より多くの医療機関へのアクセスを拡大すると発表した。

Googleのエンジニアリング・リサーチ担当バイスプレジデントであるYossi Matiasと、Google Cloudのヘルスケア戦略・ソリューション担当グローバルディレクターであるAashima Guptaは、この2つのヘルスケアモデルは、医療機関がさまざまなタスクにAIを導入する際に柔軟性を提供することを目的としていると、ブログの投稿で述べている。

MedLMには2つのモデルがある。1つ目のモデルは大型で複雑なタスク向けに設計されており、2つ目のモデルは機能を拡張することができる。

「さまざまな組織でツールを試験運用することで、特定のタスクに最も効果的なモデルはユースケースに応じて異なることが分かりました。たとえば、会話の要約は 1 つのモデルで最適に処理できるかもしれませんし、薬の検索は別のモデルでより適切に処理できるかもしれません」と、ブログ投稿では述べられている。

営利目的の病院を運営するHCAのケアトランスフォーメーション・イノベーション担当上級副社長Michael Schlosser博士によると、同社はMedLMを使って、救急医療の医師が患者とのやりとりを自動的に文書化できるようにしているという。例えば、HCAはAugmedixという会社のアンビエント・スピーチ・ドキュメンテーション・システムを使って、医師と患者の面談を自動で書き起こすことも行っているとのことだ。GoogleのMedLMスイートは、これらのトランスクリプトをERプロバイダーノートの構成要素に分割することができる。

Schlosser氏によれば、HCAは4つの病院の救急治療室でMedLMを使用しており、来年には使用を拡大したいとのことである。Schlosser氏は、1月までにGoogleの技術は医療者の助けなしにメモの半分以上をうまく作成できるようになるだろうとも述べている。生成AIの利用は、医師の事務的な処理作業を大幅に削減する有意義な事例の一つであると、Schlosser氏は述べている。

「これは我々にとって大きな飛躍です。私たちは今、人間がレビューや編集をする前に、AIがそれ自体でノートの60%以上を正しく作成できるところまで来ていると考えています」と、Schlosser博士はCNBCに答えている。

また、HCAはMedLMを使って看護師用の引き継ぎツールの開発にも取り組んでいる。このツールは電子カルテを読み、看護師が次のシフトに伝えるべき関連情報を特定することができる。

引き継ぎは「手間がかかる」ものであり、看護師にとって本当に苦痛なポイントであるため、このプロセスを自動化することは「強力な」ものになるだろう、とSchlosser氏は言う。HCAの病院全体の看護師は、週に約40万回の引き継ぎを行っており、HCAの2つの病院が看護師の引き継ぎツールをテストしている。Schlosser氏によると、看護師は従来の引き継ぎとAIが生成した引き継ぎを並べて比較し、フィードバックを提供しているとのことだ。

だがもちろん問題がないわけではない。Schlosser氏は、AIモデルが誤った情報を吐き出す可能性があることは大きな課題であり、HCAはGoogleと協力して、こうした捏造を最小限に抑えるためのベストプラクティスを考えてきたと述べた。また、モデルに供給できるデータ量を制限するトークン制限や、長期にわたるAIの管理も、HCAにとってさらなる課題であると付け加えた。

Googleは、MedLMをテストしてきた多くの企業が、ツールを本番稼動させたり、実験を拡大したりしていると付け加えた。

BenchSci社の共同設立者でCEOのLiran Belenzon氏によると、同社はMedLMのAIとBenchSci社独自の技術を融合させ、科学者がバイオマーカーを特定できるようにしたという。

Belenzon氏によると、同社はモデルのテストと検証に多くの時間を費やし、必要な改善点についてのフィードバックをGoogleに提供した。現在、BenchSci社はこの技術をより広く市場に投入する段階にあるという。

DeloitteはGoogleの技術を使って、医療システムや医療保険制度が、医療を受けるための会員の質問に答えられるようにしている。例えば、患者が大腸内視鏡検査を受ける必要がある場合、MedLMを使えば、性別、場所、医療保険、その他の条件に基づいて医療提供者を探すことができる。

また、Googleは将来、Geminiのヘルスケア固有のバージョンをMedLMに導入する予定とのことだ。Schlosser氏は、HCAはGeminiに「非常に興奮している」と述べ、同社はすでにこの技術をテストする計画を練っているとした。


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