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OpenAIのAIチャットボット「ChatGPT」は昨年11月にオープンベータが開始されてから瞬く間に世界を席巻したが、その一人勝ちの時間はすぐに終わりを告げようとしている。Googleは本日、長い間噂されていた同社のチャットボットAIプロジェクトが実際に存在し、順調に開発が進行していることを発表した。このプロジェクトは「Bard」と呼ばれ、2月8日(水)のパリで開催されるAI関連のイベントでさらに多くの情報が得られると見られる。

本日、Alphabet CEOのSundar Pichai氏が投稿したブログ記事では、以下のように述べられている。

私たちは、LaMDAを搭載した実験的な会話型AIサービス「Bard」に取り組んでいます。そして今日、私たちはさらに一歩前進し、信頼できるテスターにこのサービスを公開し、今後数週間でより広く一般に利用できるようにします。

Bardは、世界中の幅広い知識と、私たちの大規模な言語モデルのパワー、インテリジェンス、創造性を融合させることを目指しています。また、Web上の情報を活用し、新鮮で質の高い回答を提供します。Bardは、NASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の新しい発見を9歳の子供に説明したり、今サッカー界で最高のストライカーについて学び、そのスキルを高めるためのドリルを手に入れるなど、創造性の発露、好奇心の発射台となることができます。

Sundar Pichai – Google The Keyword

実際に、動作している様子は以下の動画に紹介されている。

NASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の新しい発見を9歳の子供に説明するなど、複雑なトピックを簡略化するためにBardを使用する事が出来ると言う。(Credit: Google)

上の動画では、実際に以下のようにBardが回答をしてくれている様子が映されている。

  • 2023年、JWSTは「グリンピース」という愛称が付けられた銀河系を発見しました。この銀河は、小さく、丸く、豆のように緑色だったために、この名前がつけられました
  • ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、130億年も昔の銀河の姿を捉えました。これは、遥か遠くの銀河の光が、130億年もかけて私たちのもとに届いたということを意味します。
  • JWSTはわれわれの太陽系の外にある惑星の撮影に歴史上初めて成功しました。そうした惑星はExoplanets (太陽系外惑星)と呼ばれています。「Exo」は「外の」という意味です。

こうした発見は、宇宙の無限とも言える驚異について子供たちの想像力を刺激することができるでしょう。

Googleがここでジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の話題を出したのは、ChatGPTに対する優位性を暗に示したかったからかも知れない。ChatGPTは、2021年のある時点での情報に基づいて構築されており、それ以降のデータについては回答することが出来ないのだ。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、2022年7月に本格稼働をし、130億年前の銀河の光を捉えた事が発表されたのはそれ以降となる。これはChatGPTに尋ねたところで得られない回答であり、Bardが新しい事実に基づいて的確な回答を提示していることは、”GoogleのBardはChatGPTよりも優れている”と言うことを示したかったのではないだろうか。

Googleは、まずはこのBardを、同社が誇る大規模言語モデルLaMDA」の軽量バージョン(フルスペックのLaMDAよりもはるかに低いシステム要件で動作する)を用いてリリースするとのことだ。そして、ChatGPTのように、広く一般的に公開されるわけではなく、まずは信頼できる一部のユーザー向けにリリースし、そこから規模を拡大していく予定だという。その上で、フィードバックを得て、Bardの応答が品質、安全性、実世界の情報に基づいた高い水準にあることを確認するという。

今年に入ってからのGoogleのAIに対する急激な変化は、昨年のChatGPTの立ち上げによってGoogleで引き起こされた「緊急事態宣言(コード・レッド)」の兆候を物語っている。ChatGPTの基礎技術は革新的なものではないが、OpenAIがこのシステムをWeb上で自由に利用できるようにしたことで、何百万人もの人々がこの斬新な自動テキスト生成の可能性を知ることになった。その影響はすさまじく、ChatGPTが教育や仕事に与える影響、そしてGoogleが特に関心を寄せるインターネット検索の未来について数え切れないほどの議論が交わされている。

GoogleはChatGPTを支えるAIについて、Pichai氏が述べているように、実際には以前から熱心に研究を続けており、深い専門知識をもっているが(実際、キーテクノロジーであるGPTの「T」にあたるTransformerを発明した)、同社はこれまで、そのツールを一般と共有することについてはより慎重なアプローチをとってきた。Googleは以前、Bardを支える言語モデル「LaMDA」を「AI Test Kitchen」アプリで公開したことがある。しかしこのバージョンは、いくつかのクエリに関連したテキストしか生成できない、極めて限定的なものだった。

Googleは、他のテック大手と同様、未検証のAIに対する反発を警戒している。LaMDAやGPT-3.5(ChatGPTの基幹となる)のような大規模言語モデルには、ヘイトスピーチのような有害なコンテンツを吐き出したり、誤った情報を自信を持って主張したりする傾向があることはよく知られており、批判も多い。

だが、Bardの登場は、この技術に対するGoogleのアプローチに一歩踏み込んだ変化をもたらすものだ。

一方、Googleは、検索を含む多くの製品にすでにAIを組み込んでいることも強調している。ここ数年、GoogleはAIを使って検索結果をどんどん要約し、ユーザーが自分でクリックして探索するのではなく、サイトからの情報を浮上させている。Pichai氏の投稿を見る限り、こうした機能は今後より顕著になっていきそうだ。

google search ai insights 1
インサイトを探す場合、サーチのAI機能は情報を抽出し、全体像を把握するのに役立つ。

正解がひとつではない問いに対して、インサイトを統合してくれます。ピアノとギターを両方弾く人のブログのような新しい視点を探したり、初心者のためのステップのような関連するトピックをさらに深く掘り下げたりすることができます。これらの新しいAI機能は、まもなくGoogle検索で展開される予定です。

Sundar Pichai – Google The Keyword

また、個人の開発者、クリエイター、企業に対して、Generative Language APIの提供を開始し、まずはLaMDAとそれに続く様々なモデルを利用できるようにするとのことだ。いずれは、AIを使ったより革新的なアプリケーションを簡単に構築できるようなツールやAPIのセットを作成する予定だという。

これらの詳細は、恐らくGoogleが開催するAIや検索などに焦点を当てたイベントで明らかになるだろう。こちらは、2月8日22時30分から開始予定だ。


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