TrendForceの最新の調査によると、DRAMの売上高は未曾有の下落を見せている。2022年第3四半期のDRAM売上高は前四半期比30%近く減少しており、景気後退の影響が予想以上に大きい事が明らかとなった。
TrendForceによると、DRAM業界の2022年第3四半期の売上高は181億8700万ドルで、第2四半期の255億9400万ドルから28.9%もの大幅な減少となった。メモリの契約価格は四半期中に10%から15%下落したが、スポット価格はさらに深い下落を経験した。TrendForceのアナリストは、需要の鈍化により生産者が在庫を調整したため、家電、PC、さらにはサーバー向けのDRAMを含むあらゆる種類のメモリの売上が減少したとしている。
メモリサプライヤーのトップはというと、Samsung(サムスン)が前四半期比33.5%減となったものの、売上高で世界DRAM首位の座を維持している。ただし、シェアは2022年第2四半期の43.5%から40.7%に低下している。
SK HynixはDRAM売上高が前四半期比25.2%減となったが、第3四半期の市場シェアはSamsungとは逆に、28.8%へと拡大している。同じくMicron(マイクロン)も、DRAM売上高は2022年第3四半期に前四半期比23.3%減となったが、シェアは24.5%から26.4%に上昇している。ちなみに、MicronのDRAMの減少率は業界で最も低かった。
これに対し、Nanya、Winbond、PSMCなどの中小メーカーは37.4%〜40.8%の減収と、壊滅的な打撃を受けている。
メモリメーカーが価格を安定させる方法として、生産能力増強のペースを落とすか、より高度な製造技術への移行を遅らせることで、DRAMのビット生産量を制限する戦略が考えられる。生産能力増強の停止は、高価な生産設備の減価償却が必要となるため、巨額の損失をもたらす極めて高価な措置だが、新しい生産ノードへの移行を減速することは、DRAMビットの生産量増加を抑制する比較的容易な方法と言える。
今回、メモリメーカーは後者の戦略をとることに決めたようだ。Samsungは来年、新しいP3Lファブを展開し、DRAM生産能力を引き上げるが、新しいノードへの移行を遅らせるとみられている。SK Hynixも、異なるファブでより高度な製造プロセスへの移行を遅らせるようだ。Micronは、日本の1βノードでLPDDR5Xの生産を開始したばかりだが、しばらく同プロセスでの生産は積極的に拡大させない方針だ。さらに、Micronはより積極的なDRAMの生産削減を実施する可能性があるとTrendForceは考えている。
メモリ価格の下落は、特に今年DDR5メモリに移行する場合、一般的にエンドユーザー(と、ある程度はPCメーカー)にとって良いことではある。しかし、DRAMメーカーが減産を行った後、需要が安定または強化されれば、価格は必然的に上昇するため、今後の見通しは不透明だ。為替の影響も考えられる。結局は、「欲しい時が買い時」だろうか。
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