ある香りを嗅いだとき、その香りに関連した過去の記憶や感情が無意識に呼び起こされる現象を「プルースト効果」と呼ぶ。これは、フランスの作家マルセル・プルースト(Valentin Louis Georges Eugène Marcel Proust)の有名な作品、『失われた時を求めて(À la recherche du temps perdu)』にある、主人公が紅茶に浸したマドレーヌの香りから、幼少時の母との記憶を思い起こす描写から名付けられたものだが、多くの研究からも、匂いというのは他の何よりも人間の記憶に強く刻み込まれることが分かっている。
そんな嗅覚を仮想体験に組み込もうという研究ももちろん進められているが、まだまだ一般のユーザーには敷居の高い物だった。だが今回Elevated Perceptionsは、そんな嗅覚への刺激をゲームプレイ中にプレイヤーに与える新たなデバイス「GameScent」を発表し、ゲームユーザーが手頃な価格で、より没入感のあるゲーム体験を得られる選択肢を提示している。
GameScentは、AIを活用し、ゲームプレイに対応した香りを自動的に放出するアトマイザーだ。好きなゲームやプラットフォームに対応するように香りのディスペンサーをコード化する必要はなく、プレイ中に特定の音声キューを聞き取り、適切な香りを送り出すという。そのため、事実上あらゆるプラットフォームに対応しており、現在特許出願中だ。
キットには、銃火、爆発、レース、嵐、森林、清浄な空気の6種類の香りカートリッジが付属しており、ゲーム内のあらゆる匂いを再現する。同社はまた、血の匂い、刈りたての草、海、スポーツ競技場の匂いを模倣した追加カートリッジの開発にも取り組んでいる。
Elevated Perceptions社のCasey Bunce社長は、「GameScentによって、ゲーマーの体験をこれまで以上にエキサイティングで記憶に残るものにしたいと願っています」と、述べている。
GameScentは現在、Amazon、Best Buy、GameStopなどの主要小売店で販売されている。価格は179.99ドルだが、初回限定で149ドルとなっている。Amazonでは、日本への発送も行ってくれているようだ。
詰め替えキットに関する情報、具体的にはカートリッジの寿命や詰め替えにかかる費用については不明だ。プリンタと同じようなものであれば、おそらく詰め替え用にはかなりの費用がかかることが予想される。
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