公正取引委員会は2月9日、AppleとGoogleの現在のビジネスモデルが、日本の独占禁止法上問題となる行為であるとの報告書を発表した。
両社は、2021年10月以来、主にアプリストアの支配力に関して、日本の公正取引委員会の調査を受けてきた。規制当局は今回、調査結果を公表し、両社の “優越的な交渉上の地位の濫用”を批判している。
公取委は、AppleのApp StoreとGoogle Play Storeを詳細に調査した上で、多くの変更勧告を行っている。両社が代替のアプリストアを許可しなければならないとは明言していないが、しかしその調査結果に従うことはまさにそれを要求することになる。
また、「アプリ市場その他周辺市場における自社優遇行為の防止」の項では、「App Storeの運営に関する対等な立場」を確保する必要があるとしている。
自社優遇行為を防止するための対応として、
モバイル OS 開発部門やアプリストア運営部門とアプリ開発部門を分離するという厳格
な構造的措置(例えば、それぞれを別の法人として独立させること等)も含め、様々な
対応が考えられる。
と、かなり過激な意見も述べられているが、それは、「他方で、そうした厳格な構造的措置を実施した場合、経営上の非効率性を生じさせるなど、かえってモバイル OS 提供事業者又はアプリストア運営事業者におけるイノベーションを阻害することになり、結果として、消費者にとって不利益を
生じさせる可能性も否定できないものと考えられる。」としており、現実的な措置としては、
- モバイル OS の機能及びアップデート情報へのアクセスに係るイコールフッティングの確保
- アプリストア運営に係るイコールフッティングの確保
が挙げられている。
これには、「Google/Appleのアプリ内決済システム及び/又はGoogle/Appleのアプリ内決済システム以外のシステムを利用又は選択できるようにすること」や、「アプリ内決済システムの利用手数料とApp Storeの利用手数料を別々に設定すること 」が含まれると報告されている。
さらに、新たなエコシステムの形成を阻害することのないように、Google、Appleには以下の対応を望んでいる。
Google 及び Apple は、Google 及び Apple 以外の事業者が新たな商品・サービ
スを生み出したり、そうした商品・サービスを中心としたエコシステムを新たに構築し
たりすることを妨げることなく、自らも、絶えずイノベーションをもたらしていくこと
に努めることが望ましい。その結果として、消費者にそうしたイノベーションによる便
益が還元されることにより、消費者余剰や社会厚生が向上していくものと考えられる。
また、AppleとGoogleは、開発者も利用できないような機能を利用してはならないとしている。
「他の事業者に対し、自らのアプリや商品・サービス提供の場合と同様のタイミング、範囲及び水準で、自らのモバイル OS と他の事業者のアプリや商品・サービスとが相互運用可能となるように、モバイル OS の機能(モバイル OS を介したスマートフォンの機能を含む。)に関するアクセスを認めることが望ましい」としている。
しかし、公正取引委員会は、これが常に可能であるとは限らないことを認めている。ただし、「
セキュリティ確保やプライバシー保護の観点から正当な理由が認められる場合については、この限りでない」としている。
木曜日の報告は、強制措置ではない。この報告書は、行動を起こす前に、日本政府によってさらに評価され、議論されることになる。
AppleおよびGoogleは、日本の公正取引委員会の報告書について、まだコメントを出していない。
Source
- 公正取引委員会: (令和5年2月9日)モバイルOS等に関する実態調査報告書について
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