欧州最大の銀行であり、世界第8位の銀行であるHSBCは、全世界の新規石油・ガス開発への資金提供を停止すると発表した。
HSBCは英国、そしてヨーロッパ全体で最大の銀行であり、資産運用額は約3兆ドルにも上る。日本最大の銀行である、三菱UFJ銀行の運用額が100兆円程度であることから、その規模が分かるだろう。HSBCは世界の石油産業の中心地であるドバイにも拠点も置き、もちろんこれまでに原油関連の投資も行っていた。
HSBCは遅くとも2050年までに、顧客ベース全体でネットゼロを達成する銀行になる事を2022年2月に目標として掲げていた。そのために、2030年までに7,500 億ドルから 1 兆ドルの持続可能な資金と投資を提供することも発表していた。自社の事業自体も2030年までにネットゼロにする事も目標に盛り込まれていた。
これは、銀行や年金基金、教会、学校などの組織が化石燃料プロジェクトからの資金提供や投資を停止することを奨励している、拡大する化石燃料ダイベストメント運動の最新かつ最大の動きと言えるだろう。今日までに、約40兆ドル規模の機関が化石燃料からの投資を中止している。
今回の同行の発表は、この動きをより積極的にするものだ。
In line with the policy, we will no longer provide new lending or capital markets finance for the specific purpose of projects pertaining to new oil and gas fields and related infrastructure when the primary use is in conjunction with new fields.
この方針に基づき、新規油田・ガス田および関連インフラに係るプロジェクトについて、主たる用途が新規油田に伴うものである場合には、特定の目的のための新規貸付や資本市場金融を行わないこととしました。
その目的は、石油会社のビジネスを困難にすることだ。というのも、石油業界のあらゆるレベルの企業が、その巨額の富にもかかわらず、プロジェクトを実現するために融資を利用しているからだ。
以前、HSBCは化石プロジェクトにかなり大規模な投資を行っていた。今年発表された「Banking on Climate Chaos」レポートによると、HSBCは過去6年間、化石燃料プロジェクトへの資金提供で世界第13位にランクされている。これは、世界の銀行業界の8位という規模に比べれば不釣り合いなほど小さいが、それでも化石プロジェクトには大きな資金が投入されている。このリストには、JPMorgan Chase、Citi、Wells Fargo、Bank of Americaという米国の4つの銀行が含まれている。環境保護団体は現在、これらの銀行に対し、化石燃料プロジェクトに対する融資を制限または停止するよう求めており、HSBCに続くことを期待している。
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