Elon Musk氏は、Teslaが独自に取り組んでいる人工知能との利益相反を理由に、自身が共同設立したOpenAIを去ったが、今また新たに、OpenAIに対抗するAIスタートアップを立ち上げると噂されている。
OpenAIは、現在では大規模言語モデルに基づくチャットボット「ChatGPT」で有名なAI企業だが、もともとはElon Musk氏らが非営利団体として共同設立したものだった。
2018年、Musk氏はOpenAIの取締役会を去り、その際に関係を断ち切った理由として、Tesla独自のAIへの取り組みと対立する可能性を挙げていた。実際には更に複雑な内部事情や、その後にも色々ゴタゴタがあったようだが、同氏はその後OpenAIを公然と批判することが多く、先月には多くの著名人と共に、AI研究の一時停止を求めた公開書簡に署名をしていた。
だが、今週には、Musk氏が大量のNVIDIA GPUを購入し、AI開発を開始する可能性が報じられ、Musk氏の変心なのか、それとも最初からAI研究停止の公開書簡は先行する企業への妨害工作なのではとの意見もあった。そして今回Musk氏が、研究者やエンジニアのチームを作り、複数の投資家と話を進めていると、Financial Times紙が関係者の話を引用して報じている。特に、Alphabet傘下のDeepMindからは、Igor Babuschkin氏と少数のエンジニアを引き抜いたとのことだ。
新AI会社の構造は明らかではないが、Musk氏の他のベンチャー企業とは直接関係のない独立した会社であるようだ。
しかし、このMusk氏の動きには懐疑的な見方もある。OpenAIがChatGPTによる成功を築いたのも、一朝一夕ではない。彼らは、長年にわたる試行錯誤と数十億ドルの資金調達の結果、今日の地位を築いた。また、GoogleやMicrosoftといった企業で活用されていないと感じていた機械学習の専門家の多くを引きつけ、維持したからだ。
仮にMusk氏がこの会社に資金を提供することができたとしても、Twitterや他の会社で公にされている彼の経営に対する無慈悲で気まぐれなアプローチは、彼が必要とするAI専門家を採用するための深刻な抑止力として機能する可能性が非常に高い。果たして、優秀な人材が今テック業界で最も影響力のある会社や、問題に資金を注ぎ込むGAAFA規模の会社の仕事を捨ててまで、Musk氏の下で働きたいと思うだろうか?
Source
- Financial Times: Elon Musk plans artificial intelligence start-up to rival Open AI
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